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JALとANAは潰れる?【CA目線編】

前回の記事はこちらです↓ANAとJALの8月決算をもとに、経営的にどうなの?というところを説明しています。

今回はその続編。両社とも、非常に厳しい経営状況に立たされています。

そこで頭をよぎるのが、2010年JALの経営破綻からの「自主退社」の促し。オブラートに包んでるけど、要するにクビ。そして、週刊誌などでも取り上げられている、ANAとJALが合併するのではないか、というANAJAL合併説

それを踏まえて実際に現役CAの私が感じていることを書いていきます。
(*あくまでも個人の主観です。十人十色、それぞれの方の感じ方があると思うので、「へ〜なるへそ」くらいの軽い気持ちで読んでください。)​

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プレスリリース前にCAが情報をキャッチすることはない。だから今後どうなるか、まじで分からない。

もうほんと、これは入社してからずっと思ってるんですけど、プレスリリースより前に会社意思決定が社員に伝えられていないってどうなの?という。

だいたいネットのニュースや新聞、週刊誌の記事などで会社の今後の方針や、社内の大きなニュースなどを知り、プレスリリース後に会社から「こういうことになりました!よろしく!」と事後通達されることが一般的。

まぁものすごい社員数だし、伝えるのにも労力いるし、あわよくばリークしてしまおう、なんて悪い人も出てきてしまう可能性もあるから分からなくもないけど。

でも、機内でビジネス旅客から「これからこうなるんでしょう?」とか、今後の会社の動きを知らされることも多く、「さて、どうなることでしょうね?ふふふ」なんてお答えしながら、内心(まじか)と思っていることが多々ある。

コロナが猛威を奮い始めた今年の初旬も、会社から事前に通達はされることなく、機材変更や減便が決まり、私達のフライトスケジュールが急に変更となるなど、振り回されっぱなしです。

なので、今後も、人件費カットや合併話が出てきても私達が知るのはプレスリリース後でしょうから、事前にどうなるか自分で見立てを立てておきたいですね。

「JAL・ANA合併説?」

航空会社は悲しいかな、企業努力ではどうにもならない社会的な影響とても受けやすいです。テロ、政治問題、為替変動、経済危機、原油価格高騰、環境問題、挙げたらキリがないですが、色んな危機を迎えては多くの航空会社が合併・再編を繰り返してきました。

JAL・ANA合併説も2010年に既に出ていましたよね。経営破綻したJALをANAが吸収しスポンサーとなる形で経営再建をしていくか、2社が統合すればグローバル競争でも勝ち抜くことが出来るアジア最大級の航空会社になるのでは、とか。結局2社が統合することはなかったけど。

合併、無理でしょう。JAL・ANAのマインドの違い

でも実際、2社が合併するのって社員のマインド的にもすごく難しいと思う。と、働いている私が思うところを書いてみる。

JALのマインドについて。

まず、JALについて。
JALといえばもう、圧倒的ナショナルフラッグ、歴史もブランド力もめちゃめちゃあります。海外の空港に行っても「日本から来た。」といえばすかさず「Japan Airline?」と聞かれるくらい、海外では圧倒的な知名度。
(というか、国名前がついた航空会社って、もうそれだけで強いよね。Thai AirwaysとかKorean AirとかAir Franceとかさ。国名前を使っている以上、その圧倒的なブランド力には敵わない、そんな感覚です。)

「CAは高給取り」として過去にもてはやされていたのは、まぁまずJALの先輩方が作ったイメージでしょう。先輩談ですが、ファーストクラスをCAが着物でサービスをしたり(着付けはもちろん自分でやる)、ステイ先では必ずブランドの洋服・バックを買い、成田の到着ロビーには外車がずらりと並んでいたり(彼氏が空港までピックアップに来るのが普通だったらしい)。もちろん今はそんなことないですが、昔は、実家が太いお嬢様か美人しかなれない、狭き門の職業だったらしいです。

社員の労働組合が強く(特にパイロット、CA)収益のない路線に空の飛行機を飛ばし続けたりそれが原因で経営破綻したり...と色々ありますが、経営再建をしてからは業績もよく、以前に比べて社内体質も大きく変わったイメージ。でもやはり国がバックにある会社だった歴史や風土、イメージは簡単には覆らないし、会社を引っ張っていっている経営陣もJALプライドが強いと思う。日本の航空業界はJALが牽引してきたという気持ちは、社歴が長い大御所の先輩方は特に感じているところだろう。

ANAのマインドについて。

航空業界はJALの寡占状態だったのに、 ANAはとにかく、創業当時からずっと誰にも頼らずに企業単体として努力を続けてきた、貪欲なチャレンジ精神があるように思います。

先輩談ですが、JALのCAが成田の社員スペースで優雅に過ごしている間、ANAのCAはプレハブで過ごしていたという涙ぐましい過去があったり。国際線を牛耳っていた華やかなJALのCAを脇目に、国内線で慎ましく飛ぶANAのCA。職業を聞かれ「スチュワーデスです。」と答えると「すごいJALかぁ!世界を飛びまわってるんですね!」と言われ「...全日空です。」と少し気まづく答えることもあったとか。

少しエッジの効きすぎた広告を打って、バッシングを受けたりしながらも、とりあえずやってみるチャレンジ精神で着実に力を伸ばし続けてきたANAは、結果的に2014年にはJALを抜き、国内国際ともに日本最大の航空会社に上り詰めました。2019年にはついに、政府専用機がANAに切り変わるという偉業を成し遂げた。JALを見据え常に2番手の看板を掲げていた ANAにとっては悲願のことだったと思います。
どんな時でも、自助努力でのし上がってきたANAは、とにかく社員の方の愛社精神が強いイメージ。特に酸っぱい経験を味わってきた先輩方には、ANA単体でやっていくことが何より重要だと考えている人が多いと感じます。

もし、合併するとしたら、それを嫌がるのは圧倒的にANA

もちろんJALもイヤだとは思うけど、笑 JALは一度、経営破綻を経験しているから、再編に対する理解もある程度あると思う。労組が強く、社員待遇が良いのが利点だったのに、2010年以降は社員待遇が悪化したり、会社に対しての不満が高まったりと、JALという会社への執着が弱まったのもあると思う。そしてJALの国際的ネームバリューから、統合したとしてもJALという名前が残るでしょう、と考えている人もいる。

一方、ANAには「今まで自分達で頑張ってきた」プライドがとにかく強いから、合併に反発する気持ちは特に強いと思う。どんな逆境でも、規模を小さくしたり、自社の身を削ったり、色んな努力をしてきたからこそ(これは予想だけど)JALと合併をするくらいなら、社員の身を切り、事業を削るという選択をしそう。合併はほんとうに詰んだ時の最終手段になると思う。

まぁこんなマインドがどうこう、なんて言ったところで、会社の意思決定に私の意見が反映されることはまずないから、万が一合併することになっても、「あ〜、大変。うまくやっていけるかしら」なんて思うしかない。JAL・JAS統合の時も、ANA・ANK統合の時も、社内的にはあんまりうまくいっていなくて、今でも実は社内で不憫な思いをしている方々が多くいるしね。(半沢直樹の、旧産業中央派と旧東京第一派の派閥争いをイメージしてくれると分かりやすいかも。派閥争いというかもはやいじめ?みたいだけど)

クビきり!どんな人がクビを切られる?

JALの再建の時を思い返してみると、40歳以上社員が希望退職の対象となる可能性が高い。
高級取りが多く、会社としても扱いづらいからかな。良い時代を知っているからこそ、悪化する待遇に不満を持ちやすいし、社歴が長いからこそ会社での声も大きくなる。それだけでなく、経験におごりやすく(語学力は若手CAの方がよっぽどある)勉強の努力を怠るし、「今まではこれでやってきた」という自信から、新しい方針に従いづらい。(実際、下っ端CAが頑張ってサービスしてる時も、先輩方は優雅にお茶を飲んだりして過ごしていて、働けと思うこともある笑)もちろん、素晴らしい先輩も大勢いて、その人達は後輩社員にとっても価値がある貴重な人材!退職を希望しても会社が止めるだろう。

個人的には、問題を起こした社員がクビになればいいのに〜、と思うのだけれど。笑 想像はしづらいけど、業界問わずどこの会社にも犯罪紛いのことをしてしまう社員はいる。
会社の物品を盗んで転売したり、こっそり海外から持ってきてはいけない物を日本に持ち込もうとしたり、税関申告の時に嘘をついたり。そういうことをしてバレた人は、昇進することがない。かといって辞めさせることもできないから、ずっとヒラCAとして会社にいる。(よく辞めないな〜と図太さに感心する時もある)会社としても置いておきたくないよね、というか、個人的にあまり一緒にいたくない。

クビきられてもいいように、手に職!資格!辞めても価値ある人であれ!

CAは会社の駒である。レベルや資格はそれぞれだけど、置き換え可能な会社員であることは間違いない。いつクビを切られても良いように備えた方が良いし、自分自身に力をつけることがほんとうに大事だと思う。

なのに私はのんきに「クオリティーオブライフ〜」とか考えながら、ピラティスとヨガのインストラクターの資格、唎酒士とソムリエの資格を取った。今考えれば、なんでなん?ってお花畑な脳みそに強めにツッコミたい
ヨガのインストラクターになりたいわけでもなく、飲食業界に転職を考えているわけでもない、なのに、なんでなん?(た、楽しかったから、、、後悔はしてない、、)なんて言い訳が心の中浮かんだけど、使う予定もない資格をとるのは、考えが甘すぎな。

日系CAの場合、YoutuberやInstagrammerなどのSNS系には仕事を辞めない限り絶対に手を出せない(会社から特定されて重めの厳しいお叱りを頂く。「元CAの〜」系のツイッター、インスタアカウント多いのはそのせい。)

やっておけばよかったな〜、と思うのは、士業の資格勉強。CAはとにかく時間だけはある職種だったのに。ステイ先でも、帰国後も、一般的な社会人に比べたら休みの時間は遥かに多かったように思う。スクールに通うことだってできた。仕事を辞めても「勤務経験はないのですが、〇〇士の資格取りました。」と事務所で事務方の仕事でも始められただろう。。。

妊娠してしまった今、出産予定日が私の人生の全ての時間基準となり、そこから計算したり、逆算したりして日々を過ごすことになろうとは。
(CAの妊娠についてはまた別途記事を書こうかな。)
私は今、人類を創り・生み出すという私史上、恐らく最も生産的なことをしている、だから何もできなくても大丈夫。大丈夫、多分、大丈夫。と自分に言い聞かせながらベットでゴロゴロしながらお菓子を食べてはパソコンをいじっている。

過去の自分に言ってやりたい、会社をいつでも辞められる「武器をつくれ!」と。


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