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“適切な地図”を渡せる人へ

地図を渡す人

「既存の企業に所属する生き方とは異なる生き方をしてみたいので、NPOで一度働いてみたい」
「本業を活かせるようなボランティアを通して、新しい生き方を模索したい。そのためにどこかいい団体はないものだろうか?」
「生きがいを感じるため、もっと多くの人に貢献したい。ビジネスで培った経験を応用したいので、ソーシャルビジネスを興して社会に貢献していきたい」

今年になりNPOの運営から次へのステップを考えたとき、そういったソーシャルチャレンジを志す人を支援したいと考え、色々と相談に乗るようにしてきた。

しかしあくまで自分が得た経験をもとにした自己流であったため、アドバイスに偏りがあるのではと不安を感じていた。

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そう言った不安を少しでも解消すべく、今回改めて起業を志す人(特にソーシャルビジネス関連)の支援者向けの連続した講座に通って学んでいたわけだが、

そこで得た経験をもとに考えた結果、

相談員とは相手に「地図を渡す人」なのだと感じた。

しかも適当な地図を渡す人ではない。

話を聞き、相手が最も欲している情報を編集し、その上で今取れる選択肢の幅を広げてあげる「地図」を渡せる人のことをいう。


回答のスタイル

例えば相談者が「東京駅から銀座へ行きたい」という相談を持ってきた場合、

①銀座のどこへ行きたいのか?
②急いでいるのか、ゆっくりでいいのか?
③行く方法はどのようなものを望んでいるだろうか?
④そもそも銀座へ行く目的は何なのか?

などといったことを話を聞きながら類推し、最適な手段と情報を提示することにある。

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銀座ひとつ取っても、その言葉が示す範囲は広い。

行きたい場所は駅なのか?(電車ならどの路線?)
特定のお店に行きたいのか?
目的は買い物なのか、食事なのか、待ち合わせなのか?

と言ったことを知った上でなければ、最適な情報提示には近づけない。(場合によっては自動車や自転車、徒歩といった方法も考えられる)

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イメージとしては、”電車で行きたいことを確認した”上で、乗り換え案内の検索結果を示すようなものだろうか?(当然そこにも答えは複数示される)

無限の選択肢がある中で、最終的にどのルートを使うのかは本人の決断に委ねられるため

あくまで(こちらが最適と考える)選択肢を絞った上で提示するという謙虚さを大事にしたい。


相談者自身が考えること

同時に、今回相談者自身が事前に考えをまとめ、準備することの重要性についても学んだ。

というのも、相談内容が曖昧であればあるほど、選択肢を提示する側の範囲も広くなってしまうからだ

相談対応者の頭には、始めの段階でグーグルアースが浮かんでいるとする。

そして内容を聞く中で解像度を徐々に上げていき、最終的に目的地周辺へ辿り着くことを目指す。

上で例でいう「東京から銀座に行きたい」の答え方として、日本全体が載った範囲を示した段階で終わってしまった場合、それは失敗したと言えるかもしれない。(苦笑)

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だからこそ、相談対応者は詳しく知ろうとする。

詳しい部分まで掘り下げるには、相談者自身の話が重要となる。

具合的な回答が聞きたいのであれば、具体的な質問を用意しておいた方がいい。

相談内容がうまくイメージできず曖昧なままの場合、まずは「悩みをはっきりさせることを目的に相談する」くらいのスタンスの方が気楽でいいかもしれない。

どちらにしても、相談とは双方のやり取りを蓄積させるコミュニケーションなので、一緒に考える時間を共有することを大切にしたい。


個人の選択肢を増やす

自分はこれまでNPOを運営するために、知識としてビジネスの方法を多く学んできた。

それは単純に生き残るための方法としてそれを選んだに過ぎない。(結果的にそれだけでは足りないことがわかったのだが・・・)

足りなければ補うしかないと考える。

選択肢が無くなってしまえば、目標となるその山へ登頂することは断念せざるを得ない。

遭難して道に迷う前に、引き返して別の選択肢を行える環境を用意しておくことの大事さを実感している。

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将来的には、個人の生き方をNPOのように運営できる選択肢がほしい。

今の時代はまだ「組織であること」が信用の証となる方が、比重が強いと感じる。(それもわかる気はするが)

しかし組織を運営することそのものが多くの手間を生み、結果として本心を阻害するのだとしたら、自由な生き方とはもっと幅広く行える方がいいのではないだろうか?

(寄付であれ、会費であれ、助成金であれ)個々人それぞれの生き方を周りの人たちによって支え合うということ。

そうやって負担を補え合えれば、一人ひとりが背負う責任も少しは軽くなるだろう。

ただ「生きるために金を稼ぎ続ける」という生き方以外の選択肢を提示できる世の中は、将来に生きやすさや楽しさをもたらすのではないだろうか。

自分もそんな世の中に少しでも近づけるよう貢献し、相談者にとって最適な地図を渡せる人を目指していきたいと考えている。


何らかのアクションをいただけると、一人で記事を書いてるわけではないのだと感じられ、嬉しくて小躍りしちゃいます。