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生き方の指針|情報を得ることが、必ずしもいいことだとは言えない。

スマホが壊れて,通信手段を失った24時間の話。

他機種で通信手段を回復させるまで24時間,
LINEを復活させるまで48時間。

通信手段を回復させるまでの24時間は,とても気持ちのいい時間だった。

―――

物質的に満たされた社会では,情報の有無がものをいう。
何かを持っていることよりも,何を知っているかがアピールになる。

スマホから得られるのは,主に情報だ。
新しい商品,流行のファッション,凄惨なニュース,明日の天気,明後日の天気,もっとその先の天気までわかる時代。誰と誰が付き合っただの,別れただの,結婚しただの,不倫しただのと,そんな情報まで熱心に報道される時代。


それを知って何になる?


知らないことへの不安をあおられる。
巷で話題!必見!日本初上陸!話題沸騰!人気!だからといって,知らなければならない情報は,ない。みんなが知っている情報を自分だけが知らないのは,集団で生きていく上では,不利だ。不安になって当然だ。

だけど,今の私たちが生きている社会は,たった一つの集団―例えば,サバンナに生きる群れのような,はぐれると生きていくのが困難になる集団ーからなっているわけではない。みんなが知っていると思われる情報を知らないことが,命に直結することは,たぶんほとんどない。少なくとも先の例だと。

不安になるからこそ,せっせと情報を集める。
そして,自分以外のみんなは知っているかのような錯覚を起こさせる。


そんな情報化社会から,図らずも離れた24時間。

今まで何も考えずにスマホを手に取り,時間をつぶす通勤時間。手持ち無沙汰になると,スマホに手が伸びる。特に何をするでもなく,スマホを眺める。何をしたか,何を得たかと言われると,答えに窮する。というか,覚えていない。その程度の情報だったのだ。

そう,24時間,特に困ることはなかった。

スマホが使えない24時間は,すぐに応答できる状況にない。勤務時間外の連絡に悩まされていたけれど,メールやteamsを頻繁にチェックすることもなかった。負い目を感じずに済んだ。だって,応答しないんじゃなくて,できないんだからしょうがない。


そうすると,LINEすらも面倒になってくる。
スキでフォローしているはずの企業のLINEの通知ですら,見なくたって困らないことに気づく。見ても見なくても,必要なときは自分で情報にアクセスすればいい。頻繁に通知を受け取る必要はない。
いつ誰から来るかわからない友人の通知に,応答しなければならないというプレッシャーを感じていたんだと気づく。通知なんて大して来ないのに。

いっそLINEを卒業しようかとも考えた。
だけど,そこまでの勇気は持ち合わせてはいなかった。友人を削除することはしなかったけれど,もう動いていないグループLINEや,企業アカウントを削除した。

―――

自分が心地いいように,生活を最適化する。
部屋の片づけだって,スマホのアプリだって,なんだったらスタバのカスタマイズだって,自分の心地よさのための最適化だ。片付け方,話題のアプリ,おすすめカスタマイズ,仕事術,時間術,ありとあらゆる手段で日々を「最適化」しようとする。

スマホは今や生活必需品で,たった1台でいろんなことができる。
だけど,それはしなければならないことなのか?したいことなのか?


情報を得ることが,必ずしもいいことだとは言えない。

そんなことに気づかされた24時間。



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