ジェンダーについて語ってみる③セクシャルマイノリティとなって見えた自分のジェンダーバイアス


ジェンダーについて語ってみるシリーズ。
今回は少しテーマが脱線しますが、セクシャルマイノリティとして見た自分のジェンダー観について語ってみようと思います。

私は、過去男性とも女性とも付き合ったことがあり、性別関係なく人に恋愛感情を抱きます。
このトピックだけでnote 1本書けるのでそれはまた今度。
あえて名前を付ける必要はないと個人的には思っていますが、人に説明する際にはパンセクシャル(全性愛)と説明します。
男女どちらも好きってことはバイセクシャル(両性愛)じゃないの?と思われる方もいるかもしれませんが、男性/女性 で定義されない性の人にも恋愛感情を抱く可能性がある、という点でパンセクシャルと自認しています。
今回は、セクシュアリティそのものよりも、そのセクシュアリティを通じて感じた自分のジェンダー観に焦点を当てて語ってみたいと思います。


・『稼がなきゃプレッシャー』

今は既にお別れしていますが、大学時代に同性と付き合い始めたとき、まず私が思い浮かんだのは、『稼がなきゃ』という思いでした。
不思議ですよね。
元パートナーは優秀な人で大学在学時からキャリアを追っていました。
そして私も元パートナーと付き合う前、男性としか付き合ったことがない時から、女性の権利に敏感で、自立する気ありありで、自分で稼ぐ気でいました。
じゃあなんで『稼がなきゃ』と思ったかというと、仮に私が将来年収1000万を稼ぐようになったとしても、私は自分の将来の旦那は1000万円以上、例えば年収1200万円とか、かせぐというバイアスがあったということに気づきました。で、その将来自分のパートナーが「旦那」ではなく「妻」になる可能性に気づいて、「あ、稼がないと」と感じたのだと思います。
補足ですが、私と元パートナーの間でいわゆる男女的には役割分担はなかったです。どっちが『彼氏役』みたいなものがなかったということです。
原因まで自覚した時、驚いたと同時になんだかすごく悲しくなりました。
どちらかというと、『自分は男女平等の意識が強い』と思っていた自分の男女不平等的なバイアスを自覚した瞬間でした。
彼氏だろうと、彼女だろうと、「自立」を意識してきた私には一切なんの影響もなく、また元パートナーも自立する意思があり私に頼ろうとしていたわけではないのに、『稼がなきゃ』という思いを勝手に抱いたことが本当に自分に対してショックでした。
私が自覚したバイアスは自分が育ってきた環境や、日本社会の賃金格差を反映しているのかもしれません。
おそらく同性と付き合う、という状況は今まで私が無意識に形成してきたジェンダー観から外れるきっかけとなり、自分のジェンダー観に気づくきっかけとなりました。

と同時に、「フェミニスト気質だと思っていた自分でもバイアスがあって、しかも少し特殊な状況になるまで気づかなかった。いったい何人の人が自分では気づいていないジェンダーバイアスを抱えているのだろう。というか、おそらくほどんどの人が無意識にしろ何かしらのジェンダーバイアスを抱えて、死ぬまで気づかずにいる人もかなり多いだろう」と思いました。
それが良いとか悪いとかではなく。

また、私が疑似体験した『稼がなきゃプレッシャー』は女性と付き合う男性の立場だと考えると、男性は常に「稼がなきゃ」というプレッシャーと戦っているのかもしれないと気づきました。
そして私は対同性パートナーだったので抱きませんでしたが、『男らしさ』、『甲斐性』と表されるような稼ぐことが男らしさの証明、となるプレッシャーもプラスされるとさらにしんどいだろうな、と感じました。
『綺麗であることが女らしさ』として求められるプレッシャーのように。

この話をちょうど就活時期に友人にした際に、下記のようなことを言われました。
「私就活しているときに待合室とかで話す男子、みんなお金のこと気にしてて、なんでそんなにお金のこと気にするんだろう?って不思議だったけどあんりが感じた話と関係あるかもね。」
実際、男性だから稼ぎたいと感じているとか、女性だから稼がなくていいと感じているとか、そういうわけではないと思います。
ただ、今まで目を向けてこなかったことに関して気づくきっかけとなりました。

・『私についてきてくれない?』に隠された犠牲

また、外国人で日本に住んでおらず住む予定もなかった元パートナーにあるとき、「仮に私が日本ですごい稼ぐようになったら日本に来るって選択肢はある?」という話をしたことがありました。
元パートナーは日本語も話せなかったのでビザ等の問題もいろいろあるのですが、彼女の答えは「私がhouse wifeみたいになるってことだよね?私とあなたの関係がうまくいっている間は良いかもしれないけど、別れるってなったら私はあなたと一緒にいたぶんキャリアを失うわけで、その後不安だな」と言われました。
(※ジェンダーを語ってみた②のnoteで専業主婦について書いてますが、この発言は時系列としては②の前です。)
これを言われてすごく自分が恥ずかしくなりました。元パートナーが言っていることがもっともすぎて。
私が自分のことだけ考えて、お金の問題が解決したからと元パートナーに専業主婦的なポジションになってもらうということは、私が良くてもそれはパートナーのキャリアを犠牲にしていることだと。ちょっと考えればわかることなのに、仮の話だとしても安易にその仮定をしてしまった自分が恥ずかしくなりました。

そして同時に思いました。
「将来の奥さんにはあまり働いてほしくない/家を守ってほしい/専業主婦になってほしい」というお願いの裏には奥さんのキャリアを犠牲にしてもらうということが含まれているけど、それを願う男性にその意識があるのか、と。
専業主婦希望の人と結婚したらオッケーなのか?とかそもそも日本の転勤システムとか共働き前提の仕組みじゃないよな。とかいろいろ考えましたが答えは出ていません。

・他人のジェンダー観に触れた話

今までは自分のジェンダー観について話していましたが、自分のセクシュアリティを通じて他人のジェンダー観に触れた話もあります。
元パートナーと付き合っている当時、同性と付き合っていることを伝えていて、実際に元パートナーと会った友人に後日、「どうだった?」と感想を聞いたことがあります。
「かわいい感じで驚いた」と言われて、意味をつかめず困惑していると、
「あなたが女性っぽい感じだから、女性と付き合っているって聞いて、パートナーは短髪で男性っぽい恰好して、って人かと思ってたらあんりみたいな見た目普通の女子だったから驚いた」と説明を追加してくれました。
そう思われているという可能性を考えていなかったので、「あーなるほど」、と納得すると同時に、人は男女という規範にあてはめがちなのかな?
と思いました。
「女性と付き合っている」と伝えて、どっちが『男役』なの?と悪気なく聞かれたりだとか身長や服装の趣味がシンプル系だから、という理由でどちらかが『男役』と推定されたケースも珍しくありません。
私と元パートナーは役割等特になく、単に同性同士付き合っていました。
(そもそも役割って何だろう?)

日本にまだLGBTQ+の問題が広がっていないから、ということも大きく影響しているかもしれませんが、自分が性的少数派となって触れた他人のジェンダー観でした。

to be continued...


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