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一年の計を割り出すドリームワーク(夢の学び37)

1月7日、いつもの「サンノハチ」にて「初夢ドリームワーク」と題し、今年最初のドリームワークを開催しました。
今回は年頭ということで、夢で今年一年の計を立ててみようという試みでした。
ワーク法は、このために新規開発したオリジナルです。
暮れから正月にかけてみた複数の夢を持ってきていただき、その意味をトータルに読み解くことで、今年一年の「達成すべき目標」「克服すべき課題」「課題を克服し、目標を達成するための手段、取り組み方、注意点」の3つのカテゴリーを割り出そうという趣向です。

ただ、暮れから正月にかけ、それなりの数の夢が集まらなかった、という参加者も複数いらっしゃったため、範囲を数カ月に広げ、さらに、今までドリームワークに供した夢も改めて取り上げていただくことにしました。
その結果、今回のワークはこれまでのドリームワークの集大成的な性質のものになりました。昨年を振り返ることで今年を俯瞰しよう、という試みです。
参加者は全員ドリームワークのリピーターだったため、これも結果的に、「入門コースからの卒業式」兼「中級コースへの入学式」といった位置づけのものになりました。
こうした性格上、このワークは毎年、ないし半年に一回ぐらいはやってもいいかもしれません。

ドリームワークにかかわると、実感として抱くことがあります。
それは、叶えたい願望としての「夢」は、いわば人生の「目標」であり、睡眠時にみる夢の意味を読み解くドリームワークは、その目標に向けての日々の「軌道修正」になり得る、ということです。
これを言い換えるなら、「寝てみる夢と叶えたい願望としての夢は、車の両輪である」ということです。どちらが欠けても、人生の歩みはギクシャクする、というわけです。

この新しいワーク法がどれだけ有効か試す意味で、私もここ二ヶ月間ぐらいの夢30個を対象に自分の今年の「目標」「課題」「手段」を割り出してみたところ、面白いことがわかってきました。

ユング心理学の根本概念として「元型」というものがあります。
「元型」の意味を言葉で説明するのは難しいのですが、よく知られているところで言えば、この「元型」とは、夢の中で様々な人物や動物や自然の一部などに姿を変えて現れる、ということです。したがって、夢に現れた姿をよく観察することが、元型の正体を知るいちばんの近道でしょう。なぜそこまでして「元型とは何か」を知る必要があるかというと、心の成長に大いに役立つからです。人生に無駄なものはない、というわけです。
特に、夢に登場した人物がどんな「元型」の「仮の姿」かを読み解いてみると、自己成長のうえで自分がどんな課題や目標を抱えているかがよくわかります。

今回、自分でワークしてみて、「なるほど」と思ったことは、第一に、「元型」というものは、いかに現時点における自分の行動や思考のパターンの「基盤」になっているか、ということです。そのうえで、自分の成長課題として、未発達な部分は、発達している部分が補ってくれる可能性がある、ということもわかってきました。これは私だけではなく、万人に当てはまることだろうと思います。
少し説明が必要でしょう。
たとえば、自分の中の「女性性」が未発達なら、自分の中の「男性性」がそれを補ってくれる可能性がある、ということです。逆も然りです。つまり「自分の中の異性性」がいかに重要か、ということです。これは一見矛盾した「アンビバレント」なものの言い方に聞こえるかもしれません。なぜなら、たいていの人が「性別」というと、見かけの(生物学的な)性別のことだと思い込んでいるからです。自分の中に「異性」が住みついている、と言われたら、違和感を抱く人もいるでしょう。ところが私たちの心(内面)は、自分が男か女か、といった単純な構造をしていません。心はもっと多義的なのです。
これは片親家庭の人なら誰しも経験があると思いますが、たとえばあなたが母子家庭の母親だったとします。普段あなたは母性全開で子どもに対しているでしょうが、子育てには父性が求められる場面もあるはずです。そんなとき、あなたは自分のとっさの対処法に自分で驚き、「あっ、今自分は普段の自分ではないやり方で対処した」と感じたとします。その感覚の理由を考えたとき、おそらく次のようなパターンがあるでしょう。
○必要に迫られ、突然自分の中の「父性」が目覚めた。
○母性の中の父性的側面でとっさに対処した。
○母性でも父性でもない、いわば両方を統合したような新しい何かが芽生えた。
実は、これらは同じ現象の異なる側面かもしれないのです。
もしかしたら、こんなとっさのときに、あなたの心の中に、別れた元夫、あるいは亡くなった自分の父親、あるいは理想的な父親像だと思っている俳優の顔が浮かび、「この人なら、こんなときどう対処するだろう」とイメージしたかもしれません。これも、「元型」の働きのひとつと言えなくもありません。つまり、こういうとき、あなたが「お手本」として誰を選んだかが、あなたの中の「父性」という「元型」を象徴する姿であり、あなたはその「お手本」をもとに、自分の中の父性を育てることができるというわけです。
あなたの夢に元夫、父親、父親的イメージの俳優などが登場するなら、それはそうした男性の姿を借りて、夢があなたの中の眠っている父性に働きかけようとしている、ということでもあるのです。

さらに、万人に当てはまる普遍的な成長課題として、次の3つのポイントが、私の30個の夢から割り出すことができました。
○「心技体」のバランスのよいトレーニング
これはスポーツの上達のうえでよく言われるテーマですが、スポーツ選手に限らず、万人の課題でもあります。あなたが、肉体を主に使う生活を送っているなら、心の成長が疎かになりがちだったり、あなたが人の心をテーマにした仕事をしているなら、自分の肉体のケアが「医者の不養生」になりがちだったり、技術的な仕事をしているなら、心も体も疎かになったりします。そういう意味で、やはり「心技体」のバランスを意識する必要が出てきます。
私も偉そうなことは言えないのですが、肉体的なケアを怠ってきたがゆえに、30代と50代で痛い目に遭い、その反省に基づいて生活を改めた経験があります。
○「真善美」の追及
「真」とは「真実・真理」ということですが、これは哲学者に限ったテーマではなく、一人ひとりが生涯をかけて追及すべきテーマです。逆に言えば、これを追及することで、「偽物」を見抜く力が養われるということでもあり、その分、道に迷ったり、人に振り回されたり騙されたりするリスクが減る、ということでもあります。
「善」とは「道徳心、共有価値観、対人関係」といったことの追及です。社会性を養うと言ってもいいでしょう。これも万人にとっての成長課題(目標)であるはずです。あなたが「大志」を抱いたとしても、あなたの「人格」がそれに見合うまで磨かれていないなら、周りの協力は得られず、叶うはずもありません。
「美」とは、「個人的価値観、自分の存在意義、スピリチュアリティ」といったことの追及と言えるでしょう。もちろん芸術活動などの自己表現もここに含まれます。あなたが芸術家や文学者でなくとも(いや、そうでないからこそ)、「美」の追及は、ともすると、日々の生活(経済活動)に追われて、「二の次」にされがちなテーマであるがゆえに、「真」や「善」の追及とともに、どれだけ重要なことかを考え直してみるのもいいと思います。
○過去を振り返ることで未来を見通す
これも大きな普遍的教訓のひとつです。
「過去→現在→未来」という時間の連なりを意識することによって、その先にどんな人間的成長が待っているかというと、時間の流れを超越した意識の段階ということです。「因果論」を乗り越え、「目的論」へ向かう、と言ってもいいかもしれません。そのために、直線的な時間の流れを、いっぺんとことん意識してみる、ということです。充分に意識できていないものを乗り越えることはできないからです。
「シンクロニシティ(共時性)」という言葉はだいぶ定着している感があります。これは、ドリームワーク(特にグループワーク)の参加者が一回目から実感することでもあるのですが、それで終わりではなく、その先にさらに「超・共時性」とも言えるものがあるのです。
時間の流れを超越する、というような、そんな「悟りの境地」のような「超人的」な意識状態にどうやったらなれるのか(なる必要があるのか)と、あなたは思うかもしれません。私がすでにそうなっている、ということではありませんが、少なくとも「夢の起源とは時間性を超越したところにある」ということだけは、夢学の専門家として実感を伴ってお伝えできます。
おそらく皆さんも、ドリームワークを通じて、このことを実感なさるでしょう。

さて、一年の計を立案するこの時期、あなたも自分の夢に着目することで、今年の取り組みを考えてみませんか?

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