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"CHATHERINE WHEEL"の事。

Catherine Wheelは、英国イングランドはグレート・ヤーマス周辺で1990年結成されたバンド。 ヴォーカリストでソングライターのRob Dickinson (Bruce Dickinsonのいとこらしい)、ギタリストのBrian Futter、 ベーシストのDave Hawes、ドラマーのNeil Simsからなる4人組です。ライヴを行う間に、シューゲイザー系の新人バンドとして期待され、何とレーベル契約をしていないにも関わらず、John Peelのラジオ・セッションで演奏するなど、破格のデビューとなります。1991年にはインディ・レーベルWilde Club Recordsと契約してデビュー・シングル"She's My Friend"と、中々に挑戦的なジャケのSingle”Painful Thing E.P.”をリリース、瞬く間に評判となり、程なくメジャーの「Fontana」へ移籍します。

メジャー移籍後も彼らの勢いは止まらず、「Black Metallic」、「Balloon」、「I Want to Touch You」と、怒涛のシングル・リリースが続き、全作において期待を裏切らない優れた内容でした。順調なリリースは大きな成功を予感させましたが、全英チャートの50位~70位あたりをウロウロし、恐らくレーベルが思ったよりもチャート・アクションが良くなかった。でもデビュー・アルバムへの期待は大きかった。彼らのデビュー・アルバム「Ferment」は、1992年にリリースされました。個人的には、このアルバムの満足度は、正直それほど高くはありませんでした。元々シューゲイザー系のバンドとして捉えられていましたが、彼らはそれをあまり良く思っていなかった。そして、同時期のバンド達と一緒くたに括られるのを嫌ったか、シングル集約のアルバムを否定したのか、非常に優れた楽曲が多い(特に「Balloon」)先行シングルをアルバムに収録しなかった。結果として、セールス的には全英チャートの36位とまずまずでした。

元々、彼らはアメリカのオルタナティヴとハード・ロック志向があり、以降はアメリカナイズされたサウンドとなっていきます。実際、アメリカでの評判は良かったのでした。1993年に2作目の「Chrome」、1995年に3作目「Happy Days」をリリース、更にアメリカ志向を強くしたハード・ロック的なアルバムで、全米のモダン・ロック・チャートで好アクションだったものの、大きな成功を得る事は出来ませんでした。これが彼らとしての本意だったかもしれませんが、結果としてブリット・ポップの波に乗り損なったバンドのイメージが付いてしまったのです...。1997年の4作目「Adam and Eve」はMercury、2000年の「Wishville」は完全にアメリカを意識してColumbia Recordsからと、メジャーを渡り歩いて活動しますが、このアルバムのリリース直後に解散しています。彼らが描いた未来は思った通りにはいかなかったのか、それとも満足して去って行ったのか...?2022年に再起動の兆しがあったので、その結果がどう出るかですね。

今回は、彼らが飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の怒涛のシングル・リリースの中の1枚「Balloon」に収録された曲で、でもアルバムには未収録。日本ではJ-Sportsのサッカー・プレミア・リーグ放送時の幕間映像(恐らく本国制作)に使用されて眠い目を覚ましてくれた、恐らく本国でも人気の高い、サッカー・アンセムにもなり損なった超名曲を。

“Intravenous” / Catherine Wheel

#忘れられちゃったっぽい名曲

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