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映画レビュー|「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

編集や音楽、俳優陣の演技それぞれとても素敵でしたが、なんと言ってもこの映画はラスト5分で点数が爆上がりしました。この終わり方、天才的ですよね?ちょっと脳みそが追いつかないくらい鮮やな技巧で参りました。。

複数の時間軸が交差していく脚本になっていますが、ラストは時間軸の交差に加えて、「小説の中の世界/現実の世界」までも交差させています。そうすることで「世間が望む幸せな結末/若草物語の原作者オルコットが望んだ自立した幸福のあり方」のそれぞれを描くという神業のような結末を見せてくれました。

ジョーがローリーからの告白を断るシーンで「なぜかあなたを愛せない。自分でも不思議なんだけど、、」というような言い方をしていましたが、ジョーは自分自身のセクシャリティに整理が付いていない状態なんだと感じざるを得ませんでした。そう考えると、突然訪ねてきた教授のフレデリックとすぐに結ばれるという結末は、世間の期待に添った売れるための結末としか思えません。おそらく叔母さんの家を改装して学校にして、、というあの幸せなラストシーンそもそもが小説の中だけの物語なのでしょうね。

ジョーというキャラクターは原作者のオルコットが自分を投影させて描いたと言われているそうですね。そしてオルコットはインタビューで「私はたまたま女の体に男の人格が入ってしまったんだと思う」という発言をされているという記事も見かけました。南北戦争の時代、女性が抑圧され結婚という選択を押し付けられる世界で、そこから自由になろうとクリエイティブに没頭しこうして150年後の現代でも同じメッセージを伝え続けている作家の仕事は素晴らしいです。

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