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読んだ本【2023.05】

読書からはじまる

  長田弘 (ちくま文庫)

 読まれない本に価値がある。図書館の本を全部読めるわけがない。でも、それはそれだけの書物を有している文明という証である。確かに。それは知識の量である。
「蓄える」文化という考え方はすごく納得がいった。
 読書するための椅子の話、子供の本の話。そういう視点で読書に向き合ったことはないので新鮮だった。
 それから解説がとてもよかった。

サミュエル・ジョンソンが怒っている

 リディア・デイヴィス/岸本佐知子 訳 (白水Uブックス)

 永久に読んでいたい。唯一無二の世界。
 わずか一行の表題作から10ページ超えの長編(?)まで、全部、作者が手を伸ばした瞬間そこに生まれた物語のようだ。日常のそういった断片が小説を作っていくし、小説の断片が日常を作っていくのだ。そういう世界に生きているんだろうと思った。
 邦訳されているリディア・デイヴィスはこれで全部読んでしまった。岸本佐知子様、他のも翻訳待っています。本人も乗り気みたいだけど。

ウィザーズ・ブレインⅨ 破滅の星〈下〉

 三枝零一 (電撃文庫)

 あまりにもヤバすぎて、2023年に刊行されるすべての小説の中で最高の作品であることが確定した。
 主人公がようやく活躍し始めたと思ったら、最終奥義みたいなの編み出して震えた。しかもそれまで、『アインシュタイン』とか『チューリング』とか『マクスウェル』とかが技名だったのに、ここに来てその名前が技名になるとは、となって感動しかない。
 主要登場人物の10割がチートキャラなのに、主人公がそこから一歩抜け出た感じで興奮した。そして予想通り、錬が紅蓮を受け継いで胸アツ展開だった。最終エピソードが待ち遠しい。20年以上読んでいるので終わるのは寂しくもあるが。

英語の質問箱

 里中哲彦 (中公新書)

 新聞連載のコラムをまとめた本。
 面白いけど、読んだ端から忘れていくので勉強にはならない。
 カタカナになっている言葉を英語圏で使うと誤解されるものがあるからきちんと知っていないと恥をかくという話とかは興味深い。日本人がその言葉に持っているイメージと実際の英語のイメージが違うのだと知る。
 one anotherは一般的には使わないとかも知らなかった。

ひとこと

 5月なので気がMayっている。
 ギャグではなく、何にも集中できない。感想も短い。本読めてなさすぎワロタという感じではあるが、それはそれで構わないのかもしれない。自分のペースで。でもね、読みたい本は無限にあるんだ。それには人生は短すぎるんだ。なのでもっと気が狂ったように読むのだ。人目も憚らず。
 本を読むための環境は重要だと個人的には思っていて、つまりこれから何が言いたいかと言うと暑いのは無理だという事である。早く冬になってほしい。夏場、冷房の効いた部屋で読むのも良いものではあるが、静謐な冬の空気の中で読みたいのである。あったかいコーヒーや紅茶やお酒とともに。夏でも熱いコーヒー飲んでるけど、それでもなにか違うんだ。たぶん半袖で肌が露出しているのがだめなんじゃないかな。肌に直接空気が触れることによって、温度変化が大きくなる。冷房の効いた部屋から外に出て直射日光に刺されて、電車に乗ったら冷房効きすぎて寒いとなって、精神的にも体調的にも不安定になる。このクソ暑い日本になんで人類は定住しようとしたのだ。地震も多いし火山もある。夏は湿度が高いし、世界有数の豪雪地帯もある。過酷な環境すぎる。はやく氷河期来てくれ。
 それはともかく、夏は暑くてうんざりなので、冬の小説を読めばいいんじゃないかな。ビールに関する本とか。あと一人ビアガーデンするとか。そうして一瞬で夏は過ぎてしまえばいい。僕はあと何回夏をむかえることができるだろうか。夏に立ち向かうことができるだろうか。

 読みたい本が多すぎるし本屋行きたい。書物復権フェアとかやってるし。世界のノンフィクションがおもしろい!とかいうのも気になる。

 それと、先月の分がなぜか多くの♡をいただいて驚いている。文章だけの味気ない記事だったのに。

 その先月に対して、今月は読めてなさすぎて落差がすごい。でも6月は本読みたい欲がたまっている。いいことだ。少なくとも今月よりは多く読みたいものである。乞うご期待。

 ↓ ここに今後も収録されていきます。


 ひとこと、が本の感想より長い。リディア・デイヴィスが一行の小説かどうか不明の文章を書くのだから、ひとことが長くてもいいじゃないか。ひとのことなのだろう。

 終(来月に続く)

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