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クン美奈小説

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前世、現世、未来のクン美奈の話をまとめて置いていきます
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記事一覧

セラムン二次創作小説『初デートに前に(クン美奈)』

とある日の休日。美奈子は彩都を呼び出して、ショッピングに連れ回していた。

目的は初デートの服装選び。来たる公斗との初デートに着ていく勝負服を、昔から一番よく知る彩都に見立ててもらおうと目論んでいた。

そこに加え、彩都は女装の麗人。最近のレディースのトレンドにも敏感。こんな打って付けの人はそういない。

「公斗はどんな服着ていても、幻滅なんかしないわよ?」

連れ回しては、あーでもないこーでもな

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セラムン二次創作小説『ありがとう、さよなら(クンヴィ)』

『ありがとう、さよなら(クンヴィ)』

“君の恋は永遠に叶うことはない”

久々に再開したあの人は、やっぱり又、敵の手に落ちていた。

前世の時と同じように、私の前に敵として立ちはだかった。

どうしてまた敵の手に落ちたの?なんて無駄な事は聞かないわ。

歴史は繰り返される。そう言う運命。

私の恋は永遠に叶わない。

エースにそう言われた時から、覚悟はしていた。出来ていた。はずだった。

だけど

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セラムン二次創作小説『どんな姿形になっても(クン美奈)』

『どんな姿形になっても』

「本当に石になってたなんてね……」

金髪ロングの髪の毛を、赤いリボンで後ろに括った特徴のある髪型をした少女ーーー愛野美奈子はケースに大切に保管された石にそう呟いた。

最初は、半信半疑だった。

「四天王がまもちゃんの家に石になって居候してる!」

興奮気味に彼女の守り人である月野うさぎが受験勉強をしている時にそう喚き散らした。

美奈子はその言葉に耳を疑った。

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セラムン二次創作小説『こんな朝は嫌だ(クン美奈)』

勤労感謝の日の祝日。

前日の夜から来ていた美奈子とベッドで共に寝ていた。

朝の10時。玄関の呼び鈴で公斗は起こされ、玄関へと向かう。

「兄さん、おはよう」

「いい朝だな、兄さん」

「ブラザー、会いたかったわ」

眠気眼で玄関のドアを開けると四天王が揃っていた。

しかも口々に兄さんと言う。

「お前らの兄になった覚えはない!」

「冷たいなぁ、兄さん」

「そうだぜ、兄さん」

「つまり

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セラムン二次創作小説『春眠暁を覚えず(クン美奈)』

「ふぁ~ねっむぅ~い。もう限界…」

大きな欠伸をしてソファーに寝転ぶ美奈子。

最近、俺の家へと来てはソファーに横たわり寝る事が増えた恋人。

「はぁー」

今日も例に違わずソファーで寝始めた美奈子を横目でチラッと確認して大きなため息をつく。

心を許し、安心しきっているのだろう。

それは単純に喜ぶべき事で嬉しい事なのだが、男である以上困った事がある。

制服や私服のミニスカートで無防備に寝て

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セラムン二次創作小説『恋って言うから愛に来た(クンヴィ)』

セレスはこの日、仕事でゴールデン・キングダムへと来ていた。その次いでに、とヴィーナスからクンツァイトへの手紙を預かっていた。渡して欲しいとの事だった。

勿論、中身を見てはいない。ラブレターだろう事が推測される為、赤面したくないからだ。理由はそれだけでは無いが。

「ヴィーナス様から預かって来た手紙ですわ」

「ああ」

クンツァイトを見付け、早速手紙を渡す。

相変わらず仏頂面を下げて気難しい顔

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セラムン二次創作小説『愛の花(クンヴィ←アドニス)』

夕刻。すっかり日が暮れて夜になろうとしていた頃。部下であるアドニスは一日の職務の報告へ直属の上司クンツァイトを訪ねてきていた。

これはクンツァイトの部下となり、最初からの決まり事で一日の報告をしてその日の職務を終える。報連相ーー仕事をしているものの義務であり、当たり前の行為だ。

「ご苦労だった」

「お疲れ様でした」

短いがクンツァイトはアドニスの一日の労働を労う。アドニスも一言、挨拶を交わ

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セラムン二次創作小説『節分と豆撒きと過去(クン美奈)』

 節分の日。久しぶりに美奈子が公斗の家へとやって来た。両手にはスーパーの袋や高級なショップの袋を持っている。

「恵方巻きと豆まき用の豆持ってきたよ」

 笑顔でそう言いながら、スーパーの袋から買ってきたであろう巻き寿司を数点と、豆を取り出す。

「それと……」
「まだあるのか?」

 美奈子の買ってきた恵方巻きを見て普通に美味しそうだと公斗はホッとした。インスタントの味噌汁でも入れようかとポット

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セラムン二次創作小説『白衣の戦士(クン美奈)』

日曜の陽気な朝、目覚めると身体が鉛のように重く、節々がとても痛い事に気づき、もしかして?と思い右手をおデコに当てるととても熱い。熱がある。絶望である。

これは、もしかしなくても風邪を引いて熱が出たらしい。

心当たりはとてもある。前日の美奈子との突然始まった本気の雪合戦だ。白熱しすぎて2時間近く寒空の中戦った。身体を動かしたから温まったが、下にヒートテックを来ていた為、熱が外に出ず逆に汗で濡れて

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セラムン二次創作小説『Melty Kiss(クン美奈)』

今年もこのイベントがやって来る。そう、バレンタインデーだ。

思い起こせば中一の時からバレンタインとは尽く縁がなかったように思う。

中一の時はセーラーVを夢中でやっていて、気付けば本命がおらず本番の日を迎えた。いや、直前に怒った顔がナイスガイのイケメン、若木さんに出会ってはいたけど、硬派だからチョコは嫌いと倒れちゃって渡せなかったんだ。けど、その代わりのキスでのプレゼント。

そしてこの直後にキ

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セラムン二次創作小説『振り回される漢(クン美奈)』

今日は節分の日だと巻き寿司と豆まき用の豆を意気揚々と公斗のマンションへとやって来た美奈子。

イベント事にはどんなものでも参加必須のパリピ脳な美奈子とは対照的に、イベント事がとても面倒くさく出来れば不参加希望で穏やかな日常生活を変わらず送りたい公斗は心の中で「またか…」と苦笑いをしていた。

今まで付き合って来た彼女も自分と同じでクールなタイプの女性ばかりだった為イベントはほぼスルーして来ていた公

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セラムン二次創作小説『ライバルは王子(クン美奈)』

「で、衛がな?」

私の彼氏は無口だ。寡黙で、余り自分から喋るタイプでは無い。だから、と言う訳では無いけれど、喋り役はいつも決まって私だ。

顔を合わせるなり機関銃の様に喋り、それを聞いているのか、いないのか。分からないけれど、黙って聞くと言うのが彼の役目。

けれど、今日は違う。私の顔を見ると同時に、彼の方が口火を切って来た。そして、止めどなく喋り続けている。こんなに饒舌なんて珍しい。

だから

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セラムン二次創作小説『あの世での再会(クンヴィ)』

「……ナス?」

誰……私の名前を呼ぶのは?

優しくて深い。それでいて低い声。

アルテミスとは違う。落ち着いた声。

この声を、私は知っているわ。

随分と昔から、この声の主に恋い焦がれていた。

「……クン、ツァイ……ト?」

地面に倒れていた私を跪いて、心配そうな顔で覗き込んでいた。

一体、どう言うこと?

クンツァイトは死んだはず。私が殺したのだから、よく覚えているわ。

頭が混乱する

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セラムン二次創作小説『勝負初め(クン美奈)』

「あけおめ~」

明るい声で登場したのは美奈子だ。

二人でカウントダウンの瞬間は迎えておらず。それぞれ大晦日は別々に過ごした。

一年の最後の日くらいは家族で、と二人とも考えてでは無い。

方向性の違いでバラバラに過ごすに至った。

「大晦日は紅白見るでしょ?」

「男は黙ってダイナマイトだ」

「嘘でしょ?信じられない!」

「低俗な……」

こんなやり取りをした結果、軽く本気の喧嘩をするに至

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