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比喩世界

遠くで踏切の音が聞こえる
雷の音がだんだん近づくように
その音は僕を呑み込もうとする

比喩が言葉の意味を
そのときどきで変えるように
音は何かに変わっていく
僕は耳を澄まして正体を探る

もし時間を止められたら
比喩も変わらず止まるのか
あの日を脳裏に焼き戻す

しがらみに手足を縛られた君がいる
僕の言葉はその鎖を千切れない
踏切音は暴力的に比喩を作りだす

妖怪か化け物に見えたかもしれない
君は呑み込まれるように消えていった

喩えは弱さに入り込む
音は近づいてくるのではない
僕が自ら歩きだしている
君を救えなかったという心の瑕疵は
絶対に美しいに違いないという幻想

瑕疵が比喩に変わるなら
どんな綺麗な言葉で飾るのだろう
きっと言い訳が必要だった
言い訳だって美しくありたいからだ

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