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全米選手権:オレゴンでタクシーの運転手に砲丸投について熱弁した

 全米選手権のあったユージーンでは何回かUberやLyftなどの配車サービスを利用した。乗車時はマスク着用は必須ながら、お互いにワクチン接種済みなのでおしゃべりも楽しんだ。
 
 気温が35度の予報が出ていた日に利用したLyftのドライバーは、アメフト好きで、野球はミネソタファン。オレゴン州にはMLBチームはないので、近くのシアトルかサンフランシスコのファンかと思ったら、ご両親がミネソタ出身だという。ファンになるきっかけって、親の影響も大きいんだな、興味深いなと思いつつ、五輪について質問すると、陸上はあまり見たことがないと言う。

 ほほぅ。そうですか、見たことないですか・・・。

「五輪で好きな競技は?」と聞くと、「ビーチバレーボールは見ようと思っている」という答えが。

 いいんですよ、ビーチバレーが好きでも。アメリカ人男性が大好きですよね。だからNBCもビーチバレーボールばっかり放送するんですよね、しかも女子のばかり。いいんですよ、はい。

 心の中で毒づいていると、「ビーチバレー嫌い?」と聞かれた。

「嫌いっていうか、なんか、うーん」とごにょごにょと答えつつ、「陸上もおもしろいよ」と寄り切ってみたところ、「陸上のなかで好きな種目は何?」と逆に質問をされた。

 ふむ。好きな種目。100mは好きというよりもワクワクが大きいし、一番好きな種目は何だろうと考えて思い浮かんだのは、砲丸投とハンマー投だった。

「へーー。どういうところが好きなの?」

 的確な質問だ(笑)

 待ってましたとばかりに答えた。

「何キロもある砲丸をひょいっと20m以上も投げたり、ハンマーを60m以上放ったり、絶対に絶対に私にはできない。選考会に出ている選手はみな一定以上の記録を持っているから、あまり突出したすごさを感じられないけど、素人が砲丸投げたら、2、3mしか飛ばないんだよ。自分では絶対にできないからすごいなーって思うし、力持ちってすごいよね。憧れる。しかも今回、砲丸投で世界新記録、ハンマー投は米国新が出たんだよ。彼らはすごいの!」

 投てき種目とアメリカの選手について熱弁する怪しいアジア人の熱気に押されたのか、私の説明がよほど興味深かったのか、目的地に着く時には、スペンサーさんはもう投てきに興味津々の様子で、五輪では陸上を見ると約束してくれた。

 降車してから気づいた。力持ちにとても憧れていることに。ジムでウエイトをしている時に、とんでもない重さのバーベルを上げている人に対して、「チッ。自慢してるんですかっ」というちょっと妬みに似た気持ちを持つことがあったけれど、それは憧れの裏返しだったのだろうか。ふとした会話で気づかされた。

 自分は決して力持ちにはなれないけれど、アメリカが誇る力持ちの広報活動に専念しようと思う(笑)。いや、彼らは力だけではなく、技術もあるんだけど。そこまで説明する時間がなかったので、それは次回のUberで。

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カバー写真:24mしかない砲丸投げのピット。26mくらいの長さにしておけばよかったのにね。

おまけは世界新を出したライアン・クルーズ。今回はカウボーイハット姿ではありませんでした。残念。



 

 

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