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読書記録_ 『星に仄めかされて』多和田葉子著(講談社、2020)

6月21日の朝刊に多和田葉子のインタビューが載っていた。ドイツ在住の多和田葉子は 「日本はもうなくなったのだろうか。そんな思いがよぎることがあると言う。」(共同通信のインタビューより)

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装丁に使われているお菓子を作っている彗星菓子手製所のインスタ投稿によると、三部作のうちの第二作だそう。一作目に続き、とびきりの言葉遊びとユーモアのセンスに、いつまでも読んでいられそう。

youtubeにアップされていた動画で、このシリーズのことを「ポスト危機」と多和田葉子本人が言っていた。

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「太平洋は1冊の絵本」p74
故郷と言うのはいくつもあって相対的なものだ。(…)地球には穴もあるが、連続性もある。p115-116
「蛇だけじゃない。川もそうだよ。蛇行して流れていく。直進するのは落ちていく星ぐらいだろう。僕たちは落ちていくわけじゃないのだから、ためらわずに蛇行しようよ。」p151
「北越のセブンイレブンでは、おでんを売っていた。」
「オーディン? 北欧神話のボスはそんな遠くまで勢力を伸ばしていたんだね。」
「オーディンではない。おでん。」p249

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多和田葉子の作品は欧州では「移民文学」と言われると読んで、そういう見方をしたことはなかったけど確かにそうかとも思いつつ、ドア・ドキュメント、ドンマイナンバーにはしばらく笑った。この作品を原著で読めるのは幸せだ。読んだばかりだけどまた読みたい。続きも楽しみ。

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