クリスマスの気まぐれ.25

村田さんに帰られてしまったところまでを話終えると、スミレさんはめちゃくちゃ笑っている。

「あの、私に失礼ですよー。」

「だって、ナズナってほんと…。
かわいいなぁ!」

スミレさんはテーブルの向かい側から身を乗り出して、ぐりぐり頭を撫で回される。
アヤメが慌ててお皿やグラスを押さえながら、

「それで、あの態度だったんですね。」

アヤメが納得している。
あの後少し面倒だったのは、村田さんの対応が雑になったこと。

次の日一応謝ったけれど、素っ気無くあしらわれてしまった。
それはもう仕方がないけれど、できるだけ仕事に差し支えるようなことは、したくなかったな。

「でもアレは、ちょっと無いかな。」

笑い終えたスミレさんも、ちょっと厳しい顔でそう言う。

「カンナのところには、迷惑かかってない?」

私がもう少し我慢をして、当たり障り無く過ごして平穏に帰っていればよかったのにと、今冷静になるとちょっと後悔する。

カンナは延々と眺めていたメニューから顔を上げると、

「全く。
そもそも、村田さんの態度が悪くて、ナズナさんに責任が向くわけないじゃないですか。」

「でも…。」

「元々、素行が怪しいから注意してくれって頼まれてたんです。
あちこちの取引先で、女の子に手を出していたみたいで。」

「え?」

村田さんからメールが来ないとか、アドレス教えてもらえないってあの噂自体が、もしかしてみんなの牽制だったの!?

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