クリスマスの気まぐれ.26

私、真に受けて…。
えー…。

更にヘコんで困惑もしている私なんてお構いなしで、

「おとり捜査のご協力、感謝します。」

カンナがふざけて敬礼のマネなんてしてる。

「は?」

思わずカンナのネクタイを掴んで、ぐっと引き寄せる。

「な、ナズナさん、苦しい…。」

「そうなんですか?
だから今日事務所で…。」

「なに?」

カンナのネクタイから手を緩めつつ、アヤメにもズイっと近寄る。

「あああ、あの…。
ナズナちゃんが、あんな男に引っかかるわけない!
そういう理由だったのね。
って、盛り上がってました。」

力が抜ける。
カンナのネクタイから手を離し、恥ずかしさと情けなさでテーブルに伏せる。

隠していたつもりが、私が村田さんに浮かれていたことを、みんなも知ってたなんて、恥ずかしい。

肩にトンと手が乗る。

「そんな男、こっちから願い下げよ。
自分のことって、自分よりも案外周りの方がちゃんとわかってるってことも、あるかもしれないよ?」

少し顔を上げると、スミレさんが優しく笑う。

「それだけ、普段ナズナが誠意を持って接してる証拠でしょ?」

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