クリスマスの気まぐれ.14

「そ、そうですね。」

と、答えたものの、なんだかモヤモヤしてちっとも内容を覚えていない。

「始まる前も、評価見てたんだけど、実際に見たら面白かったから、終わってすぐ書き込みしたよ!」

「そうなんですか?」

用事か仕事かなにかだと思っていたら、検索や書き込みをしていたんだ…。
もしかして、写真もその為に撮っていたのかな?
心のもやもやが、また少し深くなりそうだったけど、せっかくのデートなんだから楽しまなきゃ!

「ちょっと早いけど、飯行こうか。
オススメの店があるんだ。」

村田さんが歩き始める。

「はい。」

無理矢理口角を上げて隣に並ぶと、またスマホが光る。
確かにナビ機能もあるから便利だ。
もしここで大きな地図なんて広げられたら、ちょっとびっくりしてしまうかもしれない。
うん、発想の転換は大事だな。

「今から行く店、結構口コミ多くて、ずっと気になってたんだよね。」

「村田さんって、お店も色々知っているんですね。」

「まぁ、それなりにね?
たぶん、あの辺りだと思うんだけど…。

満足げにそういって、指差したところにはオシャレなレストランが見えた。
…けれど、なんだかおかしい。

「あれ?」

ニコニコしていた表情が、急変する。
村田さんは足早に近づいて、私は後ろからついていく。

ドアに張り紙が見えた。

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