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十代の頃



十代の頃はなりたい自分と
現実のギャップに
よく涙していた
でも誰にも打ち明けられず
ベッドで膝を抱えていた

好きな女性に手紙を送り
文通することになった日
天にも昇る気持ちだった
手紙を書いている間だけは
愉しいのに終わると哀しい

けっきょくは独りか。
その子にも
悩みは伝えられなかった
ただ愉しげに
場を盛り上げるだけ

深夜のラジオに熱中した
パーソナリティーの語りが
胸に響く――苦しいのは
自分だけじゃない
そう感じることができた

ラジオが終わる頃
日が昇り始める
それを避けるように
眠りに就くのは
いつも早朝のことだった