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くるりの話。

ある日、細野晴臣さんのラジオ「Daisy Holiday」をチェックしていたら、ゲストがくるりの岸田氏(以下、岸田くん)と佐藤氏(佐藤くん)の回があった。なんとなしにそれをYouTubeで聴いたことが、永年閉ざされていたくるりへの扉をグググっ…と押し開けてくれたのかも知れない。

くるりは、1998年にデビューした京都出身の3ピースバンドで大好きなバンドだった、以上に大学の軽音部でくるりのコピバンをやったり、くるりみたいなオリジナル楽曲を作ったり、かけていた眼鏡を岸田くんのような黒縁にしたり、と音楽だけに止まらず生活面に及ぶくらい多大なる影響を受けていた。

そんなくるりをいつからか好んで聴かなくなったのは、オリジナルメンバーのドラマー森氏(もっくん)の脱退がきっかけだったと思う。当時、知り合いに音楽業界の関係者がいたのもあってか、風の噂で脱退の背景を聴いてしまい、真意はともかく、もっくんの脱退はとても残念だった。また、脱退する直前くらいのワンマンライブやフェスなどのステージを観に行った事もあったが、あまり良い雰囲気とは言えないどころか、どこか険悪なムードすら漂うステージになんとも言えない気持ちになった。

そんな経緯もあって、あんなに大好きだったバンドを遠ざけてしまってどれくらい経ったろうか。2023年にリリースされたアルバム『感覚は道標』で、そのもっくんが帰ってきたらしい…?!、ということをなんとなしに知るも、長く錆び付いて動かなくなったくるりへ扉を中々こじ開ける気持ちにはなれない時間が続いた。

そしてつい先日、くるりの2人が出演する細野さんのラジオを聴いて、『感覚は道標』を聴いてみた。

(ジャケが、どこか1stアルバムの『さよならストレンジャー』みたい!!)

久々に聴いたくるりの音楽は、音色や音像がとても素晴らしく表現されていて、色々な意味でやはりさすがだった。中でも「朝顔」という曲を真っ先に聴いてしまったのは、学生時代に活動していたくるりのコピバンで初めて作ったオリジナル曲のタイトルが偶然にも"朝顔"だったからだ。久々のくるりをじっくり聴きながら、あの若い頃の驚きと高揚感とはまた別に、懐かしくもどこか優しく落ち着いた気持ちになれた。

『感覚は道標』の制作過程を追ったドキュメンタリー『くるりのえいが』も観た。

予告編冒頭でも聞ける、「くるりがくるりになるための曲を作る」という岸田くんの言葉。

今回を機に、もっくんがメンバーとして完全に返り咲いた訳でないことが少し気になっていたのだけど、劇中語られる岸田くんからの3人としてのくるりへの思いに、痛く切ない気持ちになると同時に深くうなずいていた。

形はどうであれ、あの3人が表立ってくるりの音楽を奏でている現実に、僕らくるりファンはきっと皆嬉しい気持ちで一杯だと思う。

改めて、くるりはやっぱりくるりだ。

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