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世代が遺すもの。


鈴木敏夫著「禅とジブリ」。


まず、タイトルに一目惚れではあったけど、冒頭を試し読みして、これは買って読むべしと即決、Amazonで注文した。


お三方の禅僧とジブリ映画プロデューサーとの1年間に及ぶ禅問答。

こりゃー読んでみたいと思ってしまうのも無理はない。もしかすると自分と世代の近い人であれば尚更かも知れない。


自分は1980年生まれなので、おそらく鈴木氏の子どもの世代にあたるかと思う。実際にうちの父は鈴木氏と1つ違いになり、所謂"団塊の世代"にあたる。

この本の終わりの方に、鈴木氏がなぜジブリのプロデューサーとして宮崎駿監督、高畑勲監督らの作品を世に出して来たのか、その気構えのようなものを、ご自身が団塊の世代にあたることと交えて"告白"されている。


戦後の高度経済成長が良くも悪くも大きく変えてしまった日本人の暮らし。生活は便利になった反面、生き辛さがつきまとうようになった。

団塊の世代は、その生活の便利さを享受した一番最初の世代であるからこそ、その世代が「人間は本来動物だ」と言い続ける義務がある、と鈴木氏は言う。


今更ながら、自分はこの一言にジブリの真髄を垣間見た気がするし、気持ちいいくらいに腑に落ちた。


僕は前々から思っていた。

坂本龍一氏がラストエンペラーで提供したあの音楽。あの音楽たちは、日本がかの時代に遺してしまった大いなるものへの贖罪だったのではと。

鈴木敏夫氏がプロデューサーとしてジブリに関わったのも、それと似たような形のものが作用していたのではと、この本を読んで勝手に感じて取ってしまった。


ジブリの作品には好きな映画も多い。けれど、そこまで常日頃、熱心にジブリを支持して来たというわけでもない。むしろ子どもの頃は、ジブリのアニメがどこか説教じみた作風に感じ、苦手だった時期もあった。それでも、この本の中で鈴木さんの言うジブリの仕事に対するこの"告白"へは、熱狂的支持すらしたい程だ。


それでは、"団塊の世代"Jr.として、自分らの義務とは、一体何だろう?

...と、もし鈴木さんに伺えるとしたら、きっとこうお返事される気がする。


即今目前。


(...はい、自分に最も足りないものです。。)


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