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お互いを評価することの効果

今日の記事は、仲間同士がお互いを評価することにどんな効果があるのか?について知ることができます。

こんちは、あおきです。さいきん教育のことを考える時間を放棄していたので、今日はちょっと考えてみたいと思います。今日の勉強会のテーマに上がっていた内容です。

協働学習は、教員ー学生という関係ではなく、学生ー学生の間で学びを深めるような学習方法です。学生はグループとチームで学習し、個々の学生が共通の目標を達成するために協力して取り組みます。たとえば、医学部の授業では1つの問いに対してチーム全員でその問いへの答えを考えていく方法(Problem based learning)やとある症例に対してどのような問診をしどのような検査をおこなうかなどを考え、診断について考えていく方法(Team based learning)などがあげられます。

さて、協働学習の中で、お互いを評価すること=ピア評価に効果があることが言われています。今日は、ピア評価の効果について考えていきます。ここからは小難しい話なので結論を知りたい人は以下の通りです。

「ディスカッションや勉強会をした後で、「他の人からあなたのこんなところがよかった、ここはこうしたほうがいいかな」など、フィードバックを受けることで、プロ意識、コミュニケーション、論理的思考などの認知能力がアップしますよ。」

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ピア評価の効果は賛否両論

ピア評価の効果には賛否両論があり、ピア評価がうまくいっている理由としては、お互いのことを認めることで学習がすすむこと、意見を表明することの効果、自己省察(自分を振り替えること)などがあげられます

ピア評価がうまくいかない理由としては、クラスが競争的になるなど雰囲気が悪くなること、匿名性の担保の点で意見を出すことを嫌がる、個人的関係性によってバイアスがかかる、評価慣れしていない、どうせなあなあに書くだろうということがあげられています。

研究的に言うと…

BMC Medical Educationに掲載されているLelchenfeldtら(2019)では、協働学習(Problem Based Learning、Team Based Learningなど)におけるピアフィードバックの効果を検討しました。データベースに掲載されている1301件の論文の中から、31件の論文が抽出されました。PRISMA声明に沿ってレビューされました。

ピア評価によって向上する点

プロフェッショナリズムの醸成 医学生のプロフェッショナリズム(プロ意識)を育むことがとても重要と言われています。ピア評価を行うことでプロフェッショナリズムが醸成されやすく、専門家としての行動をより良く行われることが示されています。ただし、この結果は、数回の間同じグループで過ごした場合にのみ有効であるということも言われており、単回のグループでのピア評価では、ピア評価の信頼性が低下することも指摘されています。

認知的方略の向上 ピア評価をおこなうことで、論理的思考スキルや学習目標の到達に役立ったという多くの学生の感想があるようです。学生の自信が増加したりするという効果も得られるようです。

コミュニケーション ピア評価によって、学生の意識の変化や行動変容が起こったり、グループメンバーへの責任感が増し、個人のコミュニケーションスキルの増加にも寄与します。

ピア評価のポイント

評価する人数は、少人数よりも多い人数の方がいいようです。また、点数での評価よりも、言葉によるフィードバックを受けるほうが、学生への認識が高いようです(5点、と評価されるよりも、ーーが良かったです、が良いっす)。ピア評価のやりかた、どんな風に評価するのがいいのか、を事前にトレーニングする必要もあります。また、一度限りではなく、経時的にピア評価をし続けることも必要となりそうです。

ピア評価項目の例 

準備状態はどうだったか、積極的に参加していたか、自分の学びに対してサポーティブな働きをしてくれたか、他者の意見に対して敬意をもってきいたか、新しい情報をもたらしたか、アイデアを共有できたか、目標と関係のある情報をもたらしたか、批判的な意見に対して受容できたか、学ぶための努力できていたかなどがあげられるようです。

あおき考

学生間でのインタラクションは主観的に大事だと思っています。評価すること自体もそうなんですけど、他の学生がどう思ったか?を知れることが重要なのかなと思います。また、ネガティブコメントばっかりだとお互いに気が滅入ってしまうので、良かったところについても伝えてあげるようにしましょうと事前に言っておくととても建設的なピア評価になるかなあと思います。そういう意味でも、事前の評価基準のすり合わせやトレーニングってのがだいじになりそうですね。

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