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伝わるためのコツは、伝える前にある。

福島県の医学部で学生教育をしながら、心理カウンセラーをしたり、研究をしたり、YouTubeの運営をしたりしてるあおきしゅんたろうです。

みなさん、だれかに何かを伝えるときに、どのようにお伝えしていますか?

そして、言ったのにわかってもらえない、こないだも言ったじゃん、話聞いてないでしょ、となったりしていませんか?

子どもに伝えるとき、部下に伝えるとき、後輩に伝えるとき、どんな場面でも起こり得ます。

伝わっていない原因にはどんなものがあるでしょう?

私が専門としている認知行動療法でも、やりかたや理論を、ただただ相手に伝えたらいいと思われることがあります。

そして、こちらから相手方に伝えてみたはいいけど、あまりよく伝わっていなかったみたいなことが起こることがあります。

患者さんの状態理解を深めるために、患者さんの症状や状態が改善に向けての知識を身につけてもらうために、心理教育というものをすることがあります。

この心理教育で重要なのは、知識を伝えることではなく、知識が伝わることです。

教育というと、こちらから相手に伝えるというレクチャーの構造がイメージできます。よくいう、一方的に伝えるということです。

スライドを読み上げたり、ワークシートを読み上げたり、みたいなイメージがあると思います。

さて、

うつ病では、気分が落ち込んだり、悲しい気分になる抑うつ気分と、ポジティブな気持ちが少なくなる興味・喜びの喪失という症状が生じます。そして、睡眠の問題や食欲の減退などが起こり・・・。

と伝えることで、知識が定着するでしょうか?

重要なのは、伝えることではなく、伝わることです。これで伝わりそうですか?

一方的に伝えることで、伝わるまで至るのはなかなか難しいですよね。

そこで大切になるのが、インタラクション、双方向のやりとりです。

そのコツをひとつご紹介します。

伝わるためには、まず相手に伝わる準備をしてもらうことです。

相手がどのくらいその知識を知っているかを尋ねましょう。開かれた質問をします。

うつ病の知識を伝える場面だったら、「これからうつ病の話をしていきます。うつ病についてどのように理解していますか?」などと聞いて下さい。

これにはふたつの効果があります。

ひとつは、話を焦点化することです。

会話は基本的にふわふわと進んでいきます。そのなかで印象に残るものだけが記憶に残ります。

ふわふわと進めずに、この話をします、というのを伝える前に意識してもらいましょう。

話を聞く準備をととのえてもらいます。

そしてふたつめは、理解度の相違を埋めることです。

専門家感覚、あるいはすでに知っている者の感覚で、これくらい知っているだろうと思っていても、実際には全然知らないことが多いです。

ですが、うつ病ってご存知ですか?などと尋ねると、はい、という答えが返ってくると、あぁ知ってるのね、んじゃさらっと話せばいいかとなります。

しかし蓋を開けてみたら、うつ病って名前しか知らない、うつ病は根性がないからなるのような理解をしている場合もあって、そうするとコミュニケーションに齟齬が起きます。

理解度を確認して、その理解度水準に合わせてお伝えしていくことが大事です。

うつ病って根性がないからなるんですよね…と返答があった場合は、まずそこから誤解をといていくことができますよね。

うつ病って根性が原因ではなくて、さまざまなストレスとか、身体の変化も原因の一つなんです。思い当たる節はありますか?と、さらに伝えていくといいでしょう。

専門的な話に限らず、伝えたいことがらがあったときに、ーーについてどんなこと知ってる?やーーについてどう考えてる?と尋ねてみてください。

認知行動療法についてどんなこと知ってますか?って聞いたときに、あぁ、認知症を予防するやつですよね、と回答されることもありました。

まずは理解の不一致を知って、何を伝えたらいいかを把握しながら、相手に伝わるように話をしてみてはいかがでしょう?

伝えるコツはまだまだたくさんあるので、またご紹介しますね。

それでは最後までお付き合いいただいてありがとうございました!

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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