送信履歴#3 正直に話してくれてありがとう!

たいがいのことにはもう驚かないよ、だいじょうぶ、気を遣わないで。
かえって感謝してるくらいだ。
隠されていたことがある日顕れて愕然と肩を落とすくらいなら、最初に知らせてもらってあがきながらでも穴の底部から這い出して宙(そら)に顔を向けるほうが、比べるまでもなくはるかにいい。

これまであんなふうにふたりで会ったことも、表面を撫でた話から踏み入ったこともなかったけれど、あのタイミングでなければならなかったような気がしてきたよ。
君はぼくと会う前日に過去に区切りをつけたと書いてよこした。何をどのように悩み、どれをもって決意したのか、ぼくにそのすべてはわからない。
でもいい。全部をほじくり返そうとは思わない。嫉くところもあるけれど、野暮はやだ。
どのような気持ちが君の中で渦巻き、伝えたいのにうまく言い表すことができないジレンマに苛まれているとしても、無理に伝えようとしなくてもかまわない。
似たようなことで奥歯を割るくらいの思いをしてきたぼくが、君の言葉にできない感情をもうくみ取り始めている。

ぼくは今、ぼくのカタチに切り取られた窪みにぽこっと当てはめられた気がしている。窪みは無味無臭無色透明で、そこが窪んでいることさえわからない、そんな窪みにぽこっと。
君という受け皿の、わりと重要な部分に温存されていた窪みだ。

ぼくはそこにたどり着くのに2年かかった。
君はぼくがたどり着くべきその瞬間を知っていたみたいに決意を実行した。
前日の訣別は、悲嘆にくれて枕を濡らすためのものではなかったんだよ、きっと。
それは、踏み出すための終止符だったんだ。

ぼくの甚だしい勘違いってことも考えられなくはない展開だけれども、仮に間違っていても、そこはまあ寛容に。今はなんとなくそう思わせておいてほしい気分なんだ。

(続く)

この道に“才”があるかどうかのバロメーターだと意を決し。ご判断いただければ幸いです。さて…。