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鑑賞録 #20 「ゴジラ マイナスワン」 各バージョンなど


2回も似たような記事書いて頭おかしいんかって感じですが今ゴジラにハマってるとこなので許してください。


祝・アカデミー賞「視覚効果賞」受賞 

例年、映画の賞はまったく気にせず生きてきたのだけれど、今回ばかりは推し映画があったので結構注目していた。

見事ゴジラ-1.0が「視覚効果賞」受賞となったが、受賞したことよりも、プレゼンターに「ゴジラ」とコールされた時の制作陣の姿を見られたことが嬉しい。

私は仲の良い友人ほどエンタメの趣味が合わないという悲しい星のもとに生まれているので、例によって私の周りでは誰一人としてゴジラの話をする者がおらず、興行成績だのRotten Tomatoesのレートだの世間で言われているほどの盛り上がりを実感できずにいた。

しかし「視覚効果賞」ノミネート作品をまとめた「96th Oscars: Best Visual Effects | Nominee Spotlight」というオスカーの公式動画には、受賞作が決まっていない段階からやたら「ゴジラマイナスワンだろ」「ゴジラに決まってる」「マイナスワン一人勝ち」といったコメント(ほぼ英語だが)が並び、それを見てやっと「本当に盛り上がってるんだな」と思え、コメント自体にもちょっと感動してしまった。



4回観た

ノミネートされた影響でDolbyやIMAXでの上映が復活していたので、初見のノーマル版に続き、今週はDolby ATMOSで2回、IMAXで1回の計4回映画館で観てきた。

失効間近の有給が残っていたのでタイミングもちょうどよかったのだが、普段めったに映画館に行かず最後に映画館で観たのが2018年の「ボヘミアン・ラプソディ」だった私にとって、同じ作品を4回も映画館で観るなんて異常事態である。

初回は世間の皆様から何ヶ月も遅れての鑑賞となったが、感想は先般書いた通り。

普段尋ねられもせずに映画を薦めたりすることのないこの私が、親しい友人に「マジで観るなら今。絶対に映画館」とわざわざLINEするほどの感動を覚え(案の定みれたらみるわ的なレスだったが)、公式パンフレットを買い、制作陣のインタビューや対談を探し、識者たちのコメントや解説を読み、歴代ゴジラ作品のOSTを聴くようになったのみならず、生まれて初めて同じ映画を映画館で複数回観るという体験をした。

ただし、Dolbyを2回観ているのは「ハマっているから」ではなく、1回目のDolbyで右隣に座っていたおじさまの生活音や鼻息がずーーーーーーっと地味にうるさくて「なんのためにDolbyにしたおもてんねん」となったからであり、想定外の1回である。

終盤のあの無音のシーンでさえ生活音が止まらなかったので笑うしかなかったが、彼に恨みはない。おじさまも感動したのかちょっと泣いてたし。



視聴ごとの感想

それぞれにどんな感想を持ったか、主観による影響やその時々のできごとも含めて書いてみようと思う。


ノーマル版

  • TOHOシネマズ池袋:スクリーン1

  • 普通席(F列中央)

客入りは全部で20人もいないくらい。

初見だったのもあり、一番ドキドキして一番夢中になって観ていた。
一番最初の15mゴジラ登場シーンが超怖いし、2回目の海上で追いかけてくるゴジラ超怖いし、放射熱線のシーンが引くくらいかっこいい。
音楽が最高に素敵。(記事を書いたので以降割愛)


Dolby ATMOS 1回目

  • TOHOシネマズ日比谷:スクリーン5

  • 普通席(L列中央)

客入りは正確には分からないが、中央の席周辺と後ろの方はほとんど埋まっていたように思う。

さすがDolbyだけあってサラウンドで立体感があり細かい音も聞こえたが初見時はもっと身体で響きを感じた印象があったので、「もう少し音量上げてほしいな〜」と思いながら観ていた。

初見時はほとんど席が埋まっていない状態だったから観客に吸収されずによりダイレクトに届いたのかもしれない。

そしてやっぱり一番最初の15mゴジラ登場シーン(一瞬)が超怖い。

それ以外では2回目の鑑賞ということで若干心にも余裕があり、マイナスワンゴジラの丸みのある顔が可愛く見えはじめる。

初見時はめちゃくちゃ怖かった海上で追いかけてくるシーンの「顔だけ水面に出ているところ」や、銀座襲撃の際に「電車を咥えて運んでいるところ」が特に可愛い。

さすが日本産である。

余談。
エンドロール中にでかい声で喋ってる人がいてあきらかに周りからの視線を集めていたが、音楽が終わって聞こえたのは日本語ではなく、しかし私がある程度判別できる言語のいずれでもなかったので何語なのかすら分からない。

2回目の鑑賞だったからか個人的には嫌な気分もしなかったしエンドロール中は喋ってよし文化の国の方なのかも?と思ったが、周りが静かに聴いてるなか一人だけ大声で喋れるメンタルがすごい。(嫌味じゃなくて)

あとは、アカデミー賞 授賞式の当日だったせいか取材のカメラとインタビュアーが来ていた。


IMAX レーザー

  • TOHOシネマズ日比谷:スクリーン4

  • 普通席(K列中央)

席は概ね埋まっていた。

個人的にはIMAX版が一番好き!!
身体への音の響き、映像の綺麗さ、スクリーンが大きいゆえの没入感は他より強く、大変好みだった。

他のバージョンに比べてほんのり耳障りな音がする瞬間はわずかにあったものの、音量も大きくしっかりサラウンド環境が生かされていてDolbyに劣らない。

ライブ難聴になるレベルの音量を求めている人でなければ十分に満足できる。

今回は右隣が空いていて横はどちらも女性だったが、途中途中で泣いているのが分かった。気持ち分かるよ〜〜!!

ザコ涙腺の私も当然うるっとはくるが流石に3回目なので落涙まではせず、その分集中することができたような感覚がある。

しかし、IMAXの難点が一つ。

せっかく素晴らしい映画のエンドロールを観終わって余韻に浸っているタイミングで、(文字のみではあるが)無遠慮なIMAXのプロモーションが入る。

本当に無粋。

まさに今そのIMAXで得た感動を野暮なプロモーションで削っている。
広報担当はマジで考え直してほしい。


Dolby ATMOS 2回目

  • TOHOシネマズ日比谷:スクリーン5

  • プレミアボックスシート(K列中央)

満員ではないが席はほとんど埋まっていたように思う。

朝からIMAXを鑑賞し、ランチを挟んでこちらを観た。
前回のDolbyで横のおじさまがうるさかった(笑)ので今回は念のためボックスシートを取り、ゆったりと臨む。

やはりIMAXと比べると身体への響きはかなり少ないが、バランスが良いという印象だ。

今回は両隣が空席なのではと思うほど静かで本当によい鑑賞体験ができたと思う。ボックスシートは2回目の利用だったが、改めて良さを実感した。


結局どれ?

受賞の影響か上映期間が延長になったようだ。
海外でも再開すればいいのにね。

映画館でゴジラ-1.0を観るならIMAXをおすすめしたい。
先般の記事にも書いた通り映画館に行く動機として私の中で最も重要なのは「音」で、映画館と自宅とで最も差があると感じるのは身体への響きである。

IMAXの響きはもはや「作品の音」ではなく「振動用の音(あるいは振動そのもの)」で発生させているような気もするが、4回鑑賞した現在、「もう1回観るならどれ?」と聞かれたら迷わずIMAXを選ぶ。


おまけ:モノクロ版

まだ観ていないのが「ゴジラ-1.0 マイナスカラー」と題されたモノクロ版で、大変興味があり、映画館で観るか配信を待つかBDを買うか迷っている。

山崎監督のコメントを見るに"白黒になるフィルター"をかけただけのモノクロ版ではなくしっかり手のかかったもので、また実際にご覧になった方々の反応も芳しい。

【山崎監督コメント】
長い間作業してもらっていた『ゴジラ-1.0/C』を発表できることとなりました。
ただモノクロにするのではなくそれこそカット単位で、
新たな映画を創り上げるくらいの勢いでさまざまなマットを駆使しながら調整してもらいました。
目指したのはモノクロ写真の名匠達が撮ったような画調。
撮影されたデータに潜んでいた肌の質感や風景のディテールをこれでもかと発掘してもらいました。
するとそこにはドキュメンタリーの様な凄まじく恐ろしいゴジラが現れました。
色を無くしたことで新たに迫ってくる現実感。
ぜひ劇場で更なる恐怖に生きて抗って下さい。

モノクロ映像版『ゴジラ-1.0/C』上映決定!

本作の舞台は1945年〜1947年だが、テレビのカラー放送は1960年から、カラー写真が一般に普及したのも1970年頃から。作中で出てくる写真も白黒だった。

もしあれが現実で、記録映像が残っていたらおそらくモノクロだろうし、何よりモノクロにしたことによってリアルさが増したとの声もある。
山崎監督も「ドキュメンタリーのような」って言ってるし。

さすがにもう立て続けに同じ作品を観すぎていて控えたい気持ちの方が大きいが、検討中である。

他にも轟音上映というのがあったが、個人的に音はIMAXで十分満足だったので対象外とした。



オデ、ゴジラ、スキ

ゴジラを全体的にそう思うのかマイナスワンゴジラだけにそう思うのかは未検証なので分からないが、前述の通り見れば見るほどマイナスワンゴジラが可愛く見えてしまう。

そして本作の印象だが、特に銀座および国会議事堂周辺を破壊した後のゴジラが異様に神々しく、異様に美しい。

なんで?

なぜか日本にやってきて、街を破壊しまくって人を殺しまくっているのに、恐怖こそ感じても憎しみや怒りが湧かない。破壊しているシーンさえ美しくて、悪役なのに悪を感じない。

なんで?

山崎監督がインタビューや養老孟司さんとの対談でゴジラを「タタリ神」と言っていたが、たしかにタタリ神にも悪を感じない。

モンスターであり神様であることが、日本のゴジラの特徴だと思うんですよ。ゴジラは「もののけ姫」に登場する「タタリ神」なんです。そもそもアメリカの核実験で目覚めたものが日本をめちゃくちゃにするって、冷静に考えるとおかしな話じゃないですか。でも、タタリ神だと捉えれば納得できる。タタリ神の襲撃を、みんなで鎮める話。そういう意味では、日本人の宗教観に合致していて、日本のゴジラはハリウッド版とはまた違うものを背負っているのかなという気がしています。

日本的宗教観映すゴジラ「怒れる〝タタリ神〟を人間が鎮める物語なんです」

(養老先生がニコニコしながら積極的にお話ししてるの珍しい気がする。)

美しさを感じてしまうのは音楽の影響もあるかもしれないが、ゴジラのどこにも憎たらしさがなく、精悍な顔つきにさえ見える。

ちなみにアメリカの核実験で被害を受ける前(タタリ神になる前)の初登場シーンの気が触れたような感じが最もタタリ神っぽく見えた。

ライトが当たって島に乗り込んで来る姿が一瞬だけ映るあのシーンがすごくタタリ神っぽい。

え〜〜もうゴジラのフィギュア欲しいんですけど〜〜〜〜〜〜〜!



おわりに

世間(主に英語圏のレビュワー)のコメントでは、昨今のハリウッドやゴジラ映画を引き合いに出して貶しながら「それに比べてマイナスワンは素晴らしい」と表現しているパターンをよく見かけた。

普段、この人はお金をもらって映画を貶してるんじゃないか?と思うくらい映画を褒めないレビュワーまで絶賛しているのを観て驚いたが、ハリウッドにせよゴジラにせよ、私にはそれらの情報がほとんどない。

加えて、歴代の特撮映画や怪獣映画を観てこなかった私にとって怪獣たちは単なる「超有名なマスコットキャラクター」であった。

昭和を振り返る番組なんかで当時の白黒や画質の粗い映像でちらっと映し出されるだけの「当時は怖かったのかもしれない」キャラクターだったし、(小さい頃に「ガメラ3」は観たような記憶があるが)怪獣映画はトレーラーすら観ない。

やたら作品数が多くて、海外でも作られていて、なんか根強い人気があるらしいけど、私には関係のないジャンルだった。

前述のレビュワーたちのように「ゴジラ映画やハリウッド映画に対して溜まっていた不満が本作によってことごとく解消された」という観点から評価している人も多いのだろうが、私にはそういう楽しみ方はできない。

しかし、ヒーロー系の映画も観ず、怪獣映画も観ず、何十年も前の(しかもかなり朧げな)ゴジラのままイメージが止まっていてずっと触れてこなかったからこそ、比較対象がなく、より新鮮でよりフラットに魅力を感じられたように思う。

ていうか一番くじのフィギュアほしかったのに高額転売されまくってんの萎える〜〜〜〜ぜったいかわね〜〜〜〜〜〜

https://1kuji.com/products/godzilla4-2
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ゴジラかわいく見えるのまじ意味わかんない〜〜〜〜〜



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