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鑑賞録 #13 「ヘルヴァ・ボス シーズン2 第2話:SEEING STARS」

親子回。


千年に一度現れるという「アザトースの涙(流星群)」をいつか一緒に見に行こうと約束していた小さいオクタヴィアとストラス。

その微笑ましい親子の姿を見た私は思いました。

クトゥルフ神話まで出てきますか、と。

ただでさえ馴染みの浅い聖書の引用が山ほど出てくるというのに、神話!
神話ですか!

Goetia(ソロモンの悪魔)については空の境界を経由(空の境界→コルネリウス・アルバ→アグリッパ→Goetia)して少しだけ知っていたために何とかとっかかりがあったけれど、私はクトゥルフはまったく通ってきてないのよ……

今から履修するにしてもどこから手をつけたらいいもんか……


同じ神話でもギリシャ神話はファンタジー作品やゲーム等々で単語に馴染みがあるし、何より藤村シシン先生のおかげでめちゃくちゃハードルが下がったこともあってまだ受け入れ準備ができている。

シシン先生は喋りだけじゃなく本もおもろいのでおすすめです。

2024年4月に新刊が出るらしい!買います!

それにしても(海外産だから当たり前かもしれないが)なんて海外産教養の試されるアニメなんだ……



オクタヴィアの家出

とうとう「アザトースの涙」が流れるその日がやってきたというのに、間の悪いことにストラスは離婚騒ぎで手一杯。

電話越しにストラスとステラが言い合っているが、離婚を決意したことで吹っ切れたストラスはこれまで大人しくしてきた分の嫌味をステラにぶちまける。

ステラも負けじと言い返してるけどこちらとしてはステラの口汚さには慣れたものだ。代わりにストラスの嫌味ったらしい嫌味が炸裂していて大変気分がいい。

それにしてもステラの声優さんは相変わらず最高である。

私はステラがストラスに向けて言う "Pathetic" と "Embarrassment" と心底愉快そうに嘲笑するときの高笑いが大好きなのだが、加えて、流れるようにハラスメントセンテンスを読み上げるGeorgina Leahyが天才としか思えない。

英語話者ほどは実感できないが、やはり嫌味ったらしく高慢なセリフを言わせる上でブリティッシュ・アクセントほど適任な発音はないだろう。


そんな両親の口喧嘩中オクタヴィアが星を見に行くことについて話そうとするが、ストラスはステラに嫌味を言い返すことに神経を注ぐあまりオクタヴィアの言葉にちゃんと耳を傾けない。

「夜までには終わる?」と訊ねるオクタヴィアに「難しいと思うよ。あなたのママのことだから週末までかかるだろうね」と、電話相手に聞かせるようにして答えている。

ストラスは目の前のオクタヴィアよりもステラをやり込めることに心を奪われていて、ましてや何年も前に約束した「星を見に行くこと」など頭にないんだ。

抑圧してきた本音を言えるようになってちょっと生き生きしているストラスは喜ばしいが、今度はオクタヴィアが悲しい思いをしてるなんて切ないね。

散々ストラスに感情移入してきたけれど、オクタヴィアがとてもいい子でパパを愛していることも知っているので観ているこちらは複雑な心境だ。

そして、約束を覚えていない上に話もまともに聞いてくれない父親に幻滅したオクタヴィアは家を出ていってしまう。
こういう時に落ち込んでとぼとぼと出ていくのではなく「怒って」勢いで出ていく感じ、ステラ譲りの気の強さはあるのかもしれない。


一方のIMP事務所はカレンダーのカットから始まる。

"HAVE THE TALK" という予定が書かれては消され、書かれては消され、どうやら7日目の今日やっと "HAVE THE TALK" が実現されたらしいのだが……

ん?ていうかこのカレンダー、顔の部分に付箋貼ってあるけど元カノのヴェロシカじゃね?
ブリッツって画伯設定(絵が下手)なのにこの付箋のイラストは誰が描いたんだ?

知ってる?
ストラスって、絵描くのめちゃくちゃ上手なんだよ。

公式の(最近全然更新されない)キャラigが存在するんだけど、ストラスがたまに自分が描いた絵上げてんのね。

そんでね、めっちゃうまいの。(二度目)

あれ?これストラスが付箋のブリッツ描いたんじゃね????

しかし書いてあるほかの予定は……品性が……

んん?
9日にある "1♡ MOXXIE" って1x7で言ってたミリーとモクシーの結婚1周年記念日では?

んで翌10日に "SUNDAY F**KDAY!" って書いてあるってことは9日が土曜で10日が日曜……

1x7の最後に「この週末はステラとオクタヴィアは出かけてるし……」とストラスが言ってたから、あの鬱展開があった日は9日と見てよく、その日から本日20日までの間、14日に毎月恒例のストラスデーがあるじゃないか?

しかも割と楽しみにしてるよねブリッツ?
嫌な相手と会う日に象徴の満月や星なんか添えたりしないよね????

あの気まずエンドから今日までに何があったか描いてくれないの???
Viv??????(粘着)

(結論から申し上げますと、後のエピソードで何があったか描かれますが、描かれません


カレンダーにあった "HAVE THE TALK" というのはルーナに対して「受付として依頼人への態度を改めませんか?」と是正を促すことだったらしいが、当然指摘されたことが気に食わないルーナがブリッツをボコボコにしている。

通常はやられたらやり返すのにルーナ相手にはやり返せずにやられ放題でされるがままボコられるブリッツが面白い。

その混乱に乗じて事務所に忍び込んだオクタヴィアがストラスの魔導書を使って異世界に飛んでしまうという展開になるが、全然隠れられてないのに忍者みたいに振る舞ってるオクタヴィアが可愛い。

ブリッツがストラスに「あなたからお借りしている魔導書を使ってあなたの娘さんが異世界に飛んでしまい、行き先も分からないし取り戻す方法もありません」と電話をかけてるけど、ストラス相手に戦々恐々としてる姿も珍しいから楽しくなっちゃう。

激怒してフル・デーモン(完全体)になったストラスがドアとモクシーを吹っ飛ばしながら事務所に出現。しかも呼び方がいつものBlitzy…♡ではなくBlitz

愛称から本名に変えただけなのにさすがGoetiaちょーこえぇ……

しかしその勢い+何を置いても解決すべき事案があるおかげで気まずさを感じさせることなくふたりが会話できていることだけは不幸中の幸いだ。

明らかに自分側の不手際なせいかストラスが怒ったり心配している時のブリッツがちゃんと申し訳なさそうで、かつ怖がっているような顔をしていて楽しい。

娘に何かあったらと心配したり娘のためならなんだってしてやると思う気持ちはブリッツも痛いほど分かるはずで、深刻さが理解できる分 余計に申し訳なく思うのだろう。

その後ルーナのファインプレーによってどうやらLAに飛ばされていると分かり、人間界へ移動。

人間に変身できるルーナとストラスがシェイプシフトするのだが、変身の仕方がなんかセーラームーンとかプリキュアみたいなエフェクトになっていて笑ってしまった。

そしてブリッツが一瞬、人間に変身したストラスを「……イケメン……」みたいな惚けた顔で見つめる。

ほんの一瞬だが、本作の視聴者が見逃すわけがない。

本当は好き同士なんだろ〜〜〜はやく付き合え〜〜〜〜〜〜〜



余談

"SHIP" という概念が英語圏にある。

これは「〜をくっつける」という意味のスラングで、「物語のファンが『登場人物の誰と誰が恋人同士になったら面白い』と想像したり、それに基づき二次創作すること」を指している。

ちゃんと調べて分かったが "relationship" の略だそう。
「送り出す」の意味合いでそのままshipかと思っていた。

英語圏の人たちとフィクションについて会話するまでこの「くっつけたい」という概念が単語として表現されていることを知らなかった。

最近でいうと葬送のフリーレンのフリーレンとヒンメル、フェルンとスタークあたりを聞くけれど、二次創作を何も追っていないのであまり詳しくはない。

個人的に原作でそういう可能性が全くほのめかされていない組み合わせの二次創作がちょっと苦手ということもあり、強いていえばワンピースのルフィーとハンコックがくっついてくれないかな〜とは思いつつも望み薄である。(ルフィって無性愛者みたいなところあるし)



Why does he hate her more than he loves me…?

途中、ブリッツとストラスをShipしている私には嬉しいシーンもちょこちょこありつつ、父親2名とM&M(ミリー&モクシー)がちんたらしている間にルーナがオクタヴィアを発見する。

厄介な父親を抱える娘同士で会話するが、オクタヴィアの寂しい胸の内を理解し共感を示しつつも「あなたのパパだってちゃんとあなたを愛してるよ」と、ストラスが人間界まで探しにきていることを伝えてあげるルーナ。

1x8あたりで絆が深まったのか、ルーナのブリッツに対する親しみが増していて感涙ものだ。

2組の親子は無事に再会し、一直線にハグしに向かってくるブリッツを足蹴にするルーナと、魔導書を勝手に使い迷惑をかけたことを謝るオクタヴィアを抱きしめるストラス。

オクタヴィアはパパがデレた時は拒否らず受け入れるようになってきたので、そういう点でストラスはブリッツより幸せポイントがちょっと多めかもしれない。

「なぜこんなことをしたの?」と訊ねるストラスに「約束した星を見たかったの」と答えるオクタヴィア。
ハッとして「アザトースの涙……!!」と気づき、謝るストラス。
「いいよ、パパが今一緒にいるから」とハグするオクタヴィア。
抱き合う二人。

そのハートウォーミングな流れでルーナにハグしようと試み、案の定殴られるブリッツ。


M&Mはほとんど出番なしで、今回は親子にフォーカスされていた回だった。

途中、人違いでシットコムに出演させられたブリッツが、キャストの犬を里親に出すシーンとルーナを養子に迎えた時をダブらせて娘愛を爆発させるシーンも素敵だし、そのブリッツをみて惚れ直したというかもはやヒーローに憧れる子供みたいなキラキラした目になっているストラスもかわいい。

ストラスが人間の姿になっているおかげでいつもよりもさらに表情が分かりやすく、ブリッツを見ている時の感情をダイレクトに感じることができた。

ブリッツもM&Mも人間に変身できないのでインプの姿しか見たことはないが、魔導書があれば変身させられる(魔導書がないと人間界では力が制限されてしまってできない)というストラスの言質をとったので、いつか見られることを楽しみにしている。



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