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(詩)緑なるもの

なぜ
ちょうの幼虫たちは
生まれた時から
目の前にある葉っぱを
食べ物だと知るのだろう
それらが
食べられるものだと

それら
緑なるものたちが
自分たちが
大きくなるために
必要な栄養分だと
どうやって知るのだろう

自分たちは
大きくなると
成長すると
成長し
やがてさなぎになり

さなぎと呼ばれた
へんなものになり
それから
大きく姿を変え
羽根をひろげ
羽根と呼ばれる
背中の二枚の
それをひろげ

生まれた大地
緑の葉っぱたちの
いた場所から離れ
飛び立ってゆくことを

いや
自分たちが
生き物であることを
自分たちが
生きていると

親もなく
どうやって
それら自然の摂理を
悟るのだろう
幼虫たちは


もしかすると
大地が語りかけるのか

彼らにむかって
おまえたちは
やがて飛び立ってゆくと

そして
もしかすると

緑なるものたちが
ささやきかけるのか
そっとやさしく
風にふかれながら

弱々しい
その生まれたての
生命たちにむかって
そっとやさしく

「わたしたちを食べなさい」と

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