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命削って、地球は回る

もうすっかり
年食ったじいさんが
警備員のバイトで
真冬の街頭に突っ立っている

もう生きてることにも草臥れて
立ったり歩いたりするのも
億劫なじいさんが

それでも生きてくために
仕方なく
真冬の道路でメット被って
マスクして棒振って
通り掛かる車やガキどもなんかに
ぺこぺこ頭を下げている

たかだが千円の時給のために
がたがた寒さに震えながら
命削って今日も一日働いている
生きてくために、命を削って

人は生きてくために
命を削るのか
それとも命を削るために
生きているのか

人はその命を維持するために
命を削る
あたかも命を削るために
その命を維持しているかのように

これって何かの冗談ですか?
それともただの意地悪ですか?
そしてあのじいさんにも
救い、はありますか?
かみさま

今日も陽は昇り、陽は沈む
そしてぎりぎりまで
命を削って働いたじいさんは
或る日いなくなり

それでもやっぱり
陽は昇り、陽は沈み
この星は回り続ける

今日も何事もなかったように
地球は回っている
ただ、それだけのこと


人生って、何かの冗談ですか?

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