小説詩集「ひまわりと風車」
「私たちってずっと前は姉妹だった、よね」
でも今はこうして壁に並んで飾られてる。
「どうしてこんなことになったと思う?」
私は「ひまわり」の絵になって青い背景に横たわる姉に聞いてみた。
「あなたの場合はね、くよくよばかりしてたから、」
くよくよして毎日泣いたり、恨んでばかりいたでしょ、で、泣き疲れたみたいな「風車」の絵になってしまったのよ。
姉はさらっりと言った。
「お姉ちゃんはいいよね、」
そのそっけなさが魅力だもの。私たち、生まれた時は双子みたいに似てたのに。
「そうだったかなあ」
「そうだったよ、」
お姉ちゃんがこれまで出会ってきたものは、太陽みたいに輝かしいものばかりだった。
「で、」
「で?」
向日葵みたいに咲きほこったんだよ。
「私のことが分かるの?」
「見てたから分かる」
「分かってない、」
光ってなにかしら、スポットライトが眩しく私を照らしても私に見えるものは何もない。薄くて、軽くて、意味のないものなの。
「なので、」
「なので?」
時が過ぎるのを見送るだけの傍観者になってしまったの。
「そうだったんだ」
私はね、泣いたよ。泣き通したの。風がね、ぐるぐる私を惑わすみたいにまとわりついて、困らせて、泣いてる私を見てさらに喜んでた。その悪魔的な喜びが、羽をぶんぶん回すから、いつしか私風車になってたみたい。
「やめて、」
とは、どうして言わなかったの?
「意味ある?」
風に吹くなって言って、意味ある?風は、吹いても吹いても行き場がないんだよ。だから、私の羽をせっついて回して、そうして自分自身を映し出しているんだよ。あることと、ないことが一緒になって満たされて、惑星みたいに回ってる。
「で、私の思考は、止まってしまったんだよ」
「私は心が止まってる」
画家の手によってキャンバスに写し出され、あぶり出されて、並んでる私たち。ルノルマンカードみたく、意味ありげに並んでる。
「画家はさ、飛び出すのを待っている?」
「たぶんね」
「動き出すのを待っている?」
「だろうね」
おわり
❄️うわー、書かなくっちゃ、とかやや強迫観念的に開いたPCに書きかけだっだタイトルを見つけて、書くことから逃げるみたいに読み直しているうちに、画家が絵筆をとって付け足す的に描き足して、遠くから眺め、よしこれでいい、ってなって、私はろば画伯になったんです。んで、また書きます。
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