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なぜ「ぴょんぴょん」するのか?

なぜ、動物はグルーミングをするのだろう?なぜ、人は貧乏ゆすりをするのだろう?赤ちゃんを抱っこして、ゆらゆらしたり、ぽんぽんするのはなぜだろう?ライブでリズムに合わせてぴょんぴょん跳ね飛ぶと心地いい。なぜだろう?

単調な動きの必要性というものは、以前から注目はされており、ストレスを癒す効果などが知られていた。また、それに伴ってセロトニンという、それこそストレスなどを和らげるものが分泌されていることなどが報告されていた。

しかし、この単調な運動(専門的には、body-focused repetitive behaviors)の新しい視点が以下の2022年の論文で示されている。マウスの実験なのではあるが、興味深い。

どうやら、MPLSSTという神経細胞が、この単調な行動を引き出し、そして報酬を脳に書き込ませているというようなことが示されている。というのも、このMPLSST神経細胞は、ドーパミン分泌に寄与するVTAという脳部位にシグナルすることも確認されているからである。VTAからのドーパミンは、報酬回路の主要な一部として知られている。

さらに、MPLSST神経細胞は、恐怖や不安の中枢である扁桃体、その一部であるCeAからのシグナルを受けており、当然パラレルでストレス系の脳反応を起こっているものと推察されるが、CeAからMPLSSTへ、そしてVTAという流れによって、単調な行動を引き起こし、ストレスを和らげる方向に寄与する可能性が示唆されている。

うーん、そんな仕組みが背景にありそうなのは、とっても興味深い。個人的にも、ストレス化における脳のストレス軽減への適応反応として、セロトニンというのは、イメージつくのだけれども、運動性が伴う文脈で、セロトニンだけだろうかという疑問は常に頭においてあった。

もしかすると、セロトニンは、ストレスに対して、あくまでそれを緩和するために合成されたものであり、単調な行動の有無とはそこまで関係がないのかもしれないし、あるのかもしれない。けれど、より我々の行動やアクションに関与するドーパミン系とクロスしてこの我々の行為が理解されるのは、より我々の生体の不思議、謎の解明の一歩になりそうだなぁと、興味津々。

まだまだ色々な研究は必要だろうけれど、けど自分にとっての気持ちいい単調な運動は、いずれにせよ、心を和らげてくれる可能性が高い。みなさんは、どんなリズムを刻みますか?(音楽、ダンス、プチプチ、皿洗い、ポンポン、色々ありそうですね♪)

Sun, J., Yuan, Y., Wu, X., Liu, A., Wang, J., Yang, S., Liu, B., Kong, Y., Wang, L., Zhang, K., Li, Q., Zhang, S., Yuan, T., Xu, T. L., & Huang, J. (2022). Excitatory SST neurons in the medial paralemniscal nucleus control repetitive self-grooming and encode reward. Neuron, S0896-6273(22)00742-5. Advance online publication. https://doi.org/10.1016/j.neuron.2022.08.010

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