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「世直し世界文学」にしたいと思った

『やりなおし世界文学』津村記久子

ギャツビーって誰?名前だけは知っていたあの名作、実はこんなお話だったとは!古今東西の92作。物語の味わいを凝縮した世界文学案内。
目次
ギャツビーは華麗か我々か?―スコット・フィツジェラルド『華麗なるギャツビー』
あるお屋敷のブラックな仕事―ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』
「脂肪の塊」は気のいい人なのに―モーパッサン『脂肪の塊・テリエ館』
流れよ理不尽の破滅型SF―フィリップ・K・ディック『流れよわが涙、と警官は言った』
こんな川べで暮らしてみたい―ケネス・グレーアム『たのしい川べ』
スパイと旅する人間模様―サマセット・モーム『アシェンデン 英国秘密情報部員の手記』
頑張れわらの女―カトリーヌ・アルレー『わらの女』
レモンの上司がパインとは―アガサ・クリスティー『パーカー・パイン登場』
技と感動のくだらなさ―フレドリック・ブラウン『スポンサーから一言』
終わりのない夜に生まれつくということ―アガサ・クリスティー『終りなき夜に生れつく』〔ほか〕


レビューサイト「本が好き!」で紹介されていたので、読んでみました。こういうブックガイド的な本は高校生ぐらいで読んでおきたいと思ってしまった。ドストエフスキーはあるけどトルストイがない!『ドン・キホーテ』とか必読だろうと思って、「世直し世界文学」が必要だと思ってしまった。フレイザー『金枝篇』なんて、誰が読むんだ(私上巻だけ読みましたけど)。その前に「聖書」とか読んでないと。あとユングとかのほうが面白い。日本なら柳田國男だろう!今ならフェミニズム関係は必読かと。

フィッツジェラルドは『ギャッツビー』より『夜はやさし』だろう。男なら「マンダム」だろう。なんかこの選定が納得いかないのだった。ディックが『流れよわが涙、と警官は言った』より先に『アンドロイドは~』とか『高い城の男』を読むべきだろう。シェイクスピアは『ハムレット』でもない。一番許せないのが『ドン・キホーテ』がなくて「世界文学」かよ。知らない作品があるのは、英米文学中心という感じ。

ダンテ『神曲』とか『(旧約)聖書』(フレイザー『金枝篇』入れる前にこっちを読んでからだろう)とか、正岡子規を入れて漱石はなぜ入れぬとか、文句たらたら出てしまう。詩もランボーとかボードレールぐらいは入れてもらいたかった。

「やりなおし世界文学」を「やりなおして」もらいたい気持ちになった。この選定誰がしたんだろう?アーサー・ミラーが『るつぼ』とか分からなさ過ぎる。素直に『セールスマンの死』だと思うんだけどな。プルースト『失われた時を求めて』を入れろとか『源氏物語』が入ってないとか言うつもりはないが、ゲーテ『ファウスト』ぐらいは入れてもらいたかった。ドストエフスキーあるがトルストイがなかったり。世直しするしかない世界文学だ。

この本は津村記久子がこういう『世界文学』を読んでどうツッコミを入れるかが面白いんだと思う。最初の「ギャッツビーて誰?」とか。『ねじの回転』でDIYの本なの?とか。『アッシャー家の崩壊』で家に向かって「あっしゃ~」と叫ぶ絵が面白い。ヴォネガットが文学の世界を開いてくれたというのは共通しているかも。読みやすいし文庫本で手に入れやすかった。そんな意味でSFとかミステリーも多いです。そろそろ『荒涼館』読もうかな。


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