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冷静と情熱のあいだに

『オルガの翼』(2021年/フランス、スイス、ウクライナ)監督エリ・グラップ 出演アナスタシア・ブジャシキナ、サブリナ・ルプツォワ、カテリーナ・バルロッジョ

解説/あらすじ
2013 年、ユーロマイダン革命直前のキーウ。欧州選手権出場を目指しトレーニングに励む 15 歳の体操選手オルガは、ヤヌコーヴィチ大統領の汚職を追及するジャーナリストの母と共に何者かに命を狙われる。身の安全のためウクライナを離れたオルガは、父の故郷スイスのナショナル・チームに。SNS を通じ、変わり果てた街や家族・友人が傷つく姿を遠くから見るしかないオルガ。しかし彼女も欧州選手権出場のため、ウクライナの市民権を手放さなければならず―。政情が刻々と変化しオルガの心は大きく揺れる。彼女が最後に下した決断とは―。

ウクライナのユーロマイダン革命の最中、母親がジャーナリストで危害を加えられるので体操選手の娘を亡き夫のスイスへ送り出す。オルガはウクライナでもナショナル・チームで活躍するような選手なのだが、スイスのナショナル・チームに移籍する。その中で選手間同志のライバル心とかオルガは体操への練習も過剰で、陰でロボットとか言われたりするのだ。そんなオリガの心情は母と離れて生活しているために母が心配でならない。

国際大会でウクライナの仲間だった選手も、ユーロマイダン革命に参加してオルガに話を聞かせる。そして国際大会で抗議のため演技中止をしたり、微妙な心情の中でオリガはひたむきに演技をするのだ。

革命の熱気(実際のスマホ映像)と体操シーンの張り詰めた緊張感の対比がいい。オルガのプレシャーは相当なもので、その中でオルガが演技するので応援したくなってしまう。またチーム内の立場(ウクライナの選手はレベルが高い)も仲間との微妙な関係とか。

その中で母が重症を負うのだ。痛ましい映像もあるのだが、オルガの体操に対するひたむきさが救いなのかな。

母親がオリガに体操選手なんて2、3年が花なんだから次やることをよく考えなさいというのだ。オルガは社会よりも体操しか見えていない少女なのだが、国を出ることによって自分が置かれている立場を知るようになる。そのときにすぐにウクライナに帰れない辛さや思春期の母親に対する反抗とか心情が描かれていていい映画だった。こういう映画は最初から涙が出てくるよ。

オルガのプレッシャー(緊張感)とウクライナの革命の熱気が対比されていていい映画になっている。

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