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村上春樹が語っていた喪失の日々

『西瓜糖の日々 』リチャード・ブローティガン (翻訳)藤本和子 (河出文庫)

コミューン的な場所、アイデス“iDeath”と“忘れられた世界”、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血を描き、現代社会をあざやかに映して若者たちを熱狂させた詩的幻想小説。ブローティガンの代表作。

小説としてよりも詩として読んでいた。それは言葉の使い方がとても詩的に思えたから。「忘れられた世界」とか「西瓜糖と鱒油のランタン」とか。大人のファンタジーという部類だろうか?藤本和子の翻訳もいいというより、この文体は村上春樹とかに影響を与えたように感じた。動物の譬え話とか。

セリフだよね。特に恋人同士のセリフがリアリティあるように感じられたというより、逆なのかもしれないが、小説の言葉がその当時の恋人たちの会話にリアリティをもたらす。それは当時の夢であったり喪失であったり。

そう理想郷の共同体を描いているのだが、それはヒッピー世代とつながる。日本だと全共闘世代のコミニュティとか。しかし、解説で柴田元幸が書いていたが、ブローティガンはヒッピー世代より前に書いていたのだと。ヒッピー世代がブロディーガンを読んで文学や音楽に影響を与えたのだろう。

それが村上春樹的なアメリカ喪失文学として我々に伝わってきたのかもしれない。コミニティのことでもあるのだが女性関係の話でもあるんだよな。三角関係の?それを詩的に描いたということだろうか?


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