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楽天は白楽天から来ているのか?

『白楽天 ビギナーズ・クラシックス 中国の古典』下定 雅弘【著】 (角川ソフィア文庫)

中国の大詩人であり、日本文化に多大な影響を与えた白楽天。彼が生涯に詠んだ3000首の詩の中から、53首を精選。第1部は少年期の友情の詩から退職した喜びを詠った詩まで。炭売りの老人への憐憫、左遷地で雪景色の香炉峰に感嘆する等の代表作を紹介する。第2部では、楽天が愛した家族、動物、四季の風物、酒、茶、音楽などを題材にした情愛濃やかな詩を味わう。多彩なコラムを加え、詩人・楽天の全体像が把握できる入門書。
目次
第1部 白楽天の詩―少年時代から退官まで(決してくじけない!;民衆はこんなに苦しんでいる;みんなに暖かい服を;毎日がたいくつ ほか)
第2部 愛する人に語り、好きなものを詠う(おまえが遺した鏡を取り出して;けなげな妻よ;元〓(しん)よ、どうしている?
劉君、今から遊びに行くよ ほか)

『源氏物語』を読んでいると白居易の「白氏文集」とか「長恨歌」が出てくるので興味を持った。ただここでは「長恨歌」は掲載されてないのだけど(たぶん、長すぎて全体を伝えるのが難しいのだろう)

白居易(白楽天)の詩を儒教と老荘思想で分類して、儒教的な詩は政治の中心地である長安を目指しているエリートが作る詩であるのだが、老荘思想は左遷地の洛陽での開き直って、人生を楽しもうと謳う詩なのだが、その中にエリートの悲哀が読める。もともとロマンチストであるのか、詩人性格なのか、その描写力とか素晴らしい。西湖は、もともと洪水や干ばつの地域に人工湖というような灌漑工事によって出来たもので、白居易が完成させたという。その白居易の詩が素晴らしいのは隅々まで知りつくしている知識もあるからならだろう。

白居易ほどのエリートでも最高位の官僚になれなかったという後悔があるのかと思ったが、杜甫と李白を合致させたようなバランスの良さが白居易の偉大さだろうか。だから日本でも官僚貴族に取り上げられたり、ロマンの恋愛詩が『源氏物語』にも取り上げられたりしているのだった。その当時は漢詩と言えば白居易だったようである。

老人となって当時としては長生きもした白居易なので、晩年の趣のある「老荘思想」の詩などは共感を持ってしまう。

聴き逃し「漢詩を読む」でも白居易が聴ける。


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