『市子』（2023年製作／126分／G／日本）監督：戸田彬弘　出演：杉咲花、若葉竜也、森永悠希、倉悠貴、中田青渚、石川瑠華、大浦千佳、渡辺大知、宇野祥平、中村ゆり

松本清張のようなミステリー映画か。監督のオリジナル脚本というか演劇からスタートした人のようだ。それは主演の市子演じる杉咲花の魅力が大きい。タイトルがそうだけどヒロインが全面に出る映画なのだ。

市子は、ちょうどアーレントで無国籍の者の人権は国に保証されないとやったが、まさにそのことがテーマの一つとしてあると思う。市子が生きるためにはどうすれば良かったのかというような映画か？

恋人・長谷川義則（若葉竜也）から結婚のプロポーズされ幸せの絶頂かと思いきや失踪してしまう。白骨死体を発見というニュースを見て失踪するので犯罪事件が絡んでいると警察も捜査するのだが見つからない。そんな市子の半生を幼少期から辿っていくのだが、一番の問題は親が届け出をしなかったので無国籍になってしまったこと。それはDVで別れた夫がいると戸籍から居場所がバレると説明していた。今そういう子供が多いのかもしれない。

市子の孤独性もあるのだがその反面、人たらしのような魅力もあるので、友達には不自由しないのだが、市子の秘密の部分が人と一緒にいられない理由だとわかってくる。市子自身が人を信用出来ない環境にあるのだった。そしてそんな市子を守りたいと男も出てくるのだが守りきれない秘密を抱えている。そのミステリーなのだが、幸福な家庭とそうはなれなかった市子の家庭と孤独な男たちが市子を守ろうとするが彼等には守れないと市子が思ってしまうのは何故なのか？そのへんのミステリー展開が興味を深いドラマなんだが、最後は宙吊り状態になった。

あえて宙吊り状態にしたと思うのだが、監督の意図が見えにくいような。やっぱ無国籍の問題なのかなとは思う。