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ゴダール+清順=角川映画みたいな

『別れる決心』(2022/韓国)監督パク・チャヌク 出演パク・ヘイル/タン・ウェイ/イ・ジョンヒョン/コ・ギョンピョ

解説/あらすじ
男が山頂から転落死した事件を追う刑事ヘジュンと、被害者の妻ソレは捜査中に出会った。取り調べが進む中で、お互いの視線は交差し、それぞれの胸に言葉にならない感情が湧き上がってくる。いつしか刑事ヘジュンはソレに惹かれ、彼女もまたへジュンに特別な想いを抱き始める。やがて捜査の糸口が見つかり、事件は解決したかに思えた。しかし、それは相手への想いと疑惑が渦巻く“愛の迷路”のはじまりだった……。

coco映画レビュアー

パク・チャンヌクは『お嬢さん』の監督だったのか。刑事ものなんだけど被害者の妻に恋してしまうという、その妻が夫殺しの容疑者だったからけっこう複雑なストーリーなのが評価の難しいところ。刑事どらまよりは恋愛ドラマか。ちょっと変則的というか、この監督は凝りすぎるというか、二部構成的で同じ話を繰り返すのが『お嬢さん』と同じパターンだったが、あのときは視点の移動があったから面白かったのだ。

今回も視点の移動は感じられるが大体が刑事視線だから無理があるのかもしれない。容疑者の女性が中国系で魅力的なんだがストーリーも日本占領時代のことも絡んでくるのだが、そこが端折り過ぎたのか、最初から入れなくて良かったのか、ストーリーを複雑にしただけだった。この女性の狙いはなんだったのかがイマイチはっきりしないのだ。

中国から韓国へ亡命したような感じなのだが、もう一つ理由が明確ではない。韓国人の男を騙すというより、そこに男尊女卑的な支配関係があるのだ。刑事は今の韓国人男子のような夫婦共働き家庭なのだが、奥さんが原発に勤めているというそこももっと深掘りしたかったような感じも受けるのだが、そのことが特別に問題視されているのではない。でも原発事故があって中国人がそれを観光に来ると言っていたのでそこはギャク的な感じなのかもしれなかった。

去年の韓国の賞を総取りしたような宣伝なのだが韓国事情に疎いとよくわからないことがあるようだ。中国からやってきたという女性というのが何か意味深いようで、それがよくわからなかったが脱北者みたいな感じなのかなとは思った。むしろ脱北者に出来ない配慮があったのではないか?

ラストの海に消えるシーンは普通なら考えられないシーンなのだが、そこは詩的に映像化したと思う。けっこう情景としてはいいシーンなのだ。ただストーリー的にはわかりにくい。この監督はストーリーよりも映像第一みたいなところがある。まあ、韓国の鈴木清順というところだろうか?


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