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雅楽がバロック管弦楽になる「源氏物語」

『源氏物語 A・ウェイリー版1』紫式部 (著),アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵(翻訳)

このままヴィクトリアン・GENJIを読むまで
私は源氏物語を理解していませんでした!
この漫画やってみたい!
竹宮惠子

光り輝く美貌の皇子シャイニング・プリンス、ゲンジ。

日本の素晴らしい古典のなかの古典、源氏物語が英訳されています、ふたたび現代語に訳し戻されたとき、男も女も夢中にさせてくれるようなストーリーのすべてのキャラクターが輝きだした!胸を焦がす恋の喜び、愛ゆえの嫉妬、しばらく渦巻く結婚、運命の無常。

1000年のときを超えて通用する生き生きとした人物描写と、巧みなストーリーテリング。源氏物語の本質を直接伝え、心を揺さぶられる決定版!こんなにも笑って泣けて、感動する物語だった!

「ゲンジ」「シャイニング・プリンス」とカタカナ表記される、ちょっと
不思議な世界へようこそ! ページをめくるたびに現れる

言葉と文体の新鮮なことか。読んでみて欲しい…その全てが異色の「源氏物語」体験として、あなたの中に残ろう。

博物館に勤務しながら独学でマスターした日本語で、彼はこの傑作や企画を行いました。研究される「黄金時代の日本から来た最高の文学作品」と大絶賛され、本書は一躍ベストセラーに。

紫式部は、中世日本の生んだプルーストと呼ばれ、はてはシェイクスピアまでを引き合いに評価されました。 スペイン語やイタリア語版の底本となった限定ではありませんでした。 アメリカでも評判となったこの本との出会いが、ドナルド・キーンさんの生涯を決めました。

原文を何度も読んで頭に入れ、一気に訳文を書き下ろす。その生き生きとした文章の魅力は、どうしても会話文に表されます。 プリンス・ゲンジの艶やかなキャラクターを立てて、プリンセスやレディたちの恋のときめきも、嫉妬の声も描ける。の読者を源氏物語の世界に魅せた傑作です。

第1巻ではプリンス・ゲンジの誕生(「桐壺」)から、ひととき彼の運命に翳がさす物語の山場「須磨」「明石」までを出かけます(全4巻)。

和歌作詞監修:藤井貞和

分厚い豪華本の表紙がなによりもクリムトの絵というのがセンスがある装幀だ。そしてアーサー・ウェイリーの翻訳は『源氏物語』をも西欧の神話的愛の物語にした。橋本治『窯変 源氏物語』と同時進行で読んでいるのだが、人物像は橋本治のほうが面白いとしても、絢爛豪華な宮廷の儀式は邦楽がバロック管弦楽になったような夢心地なのである。

『紅葉賀』が「紅葉フェスティバル」になると庭で太陽の下の開放的セレモニーであるかのような。オリジナル曲(邦楽)をバロック管弦楽に編曲したような楽しさ(ヴィヴァルディのような)。祝餅がラッキーケーキになって、ん?と思うような訳もあるが、総じて英語との違いを楽しめる。

光源氏が「シャイニング・プリンス」とか、夕霧が「リトル・プリンス」とか、ファンタジーの世界なのだから、姫たちの名前もそれぞれ興味深い名前が付いている。「夕顔」が「イヴニング・フェイス」とか「末摘花」は「サフラン姫」になっていい香りがしそうだ。須磨寺の守り神が「ドラゴン・キング」とか、龍王の訳なのか、明石入道はポセイドンの末裔かと思わせる。

『源氏物語』の二次創作というようなことを解説で言っているがまさにそのように読める。そこから西欧人たちはヴィクトリア朝時代を思い浮かべ、オリエンタリズムだと思うが「千夜一夜物語」の幻想譚と成っているのである。

高橋源一郎はTV「『光の君へ』のプレ番組」で、「千夜一夜物語」との共通点を言っていた。紫式部は藤原道長を通して、天皇へ物語を献上して、続きが書けないと首にされると言っていた。それは現代の作家事情を反映しているのかと思うが、西欧人たちが「オリエンタリズム」と見たのは読んでいて理解できる。


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