0220「どきどきさせるぜ」

昨日のお昼の12時頃を最後に、父からの鬼着信がぱたりと途絶えた。

インフルエンザでさすがにしんどいのかな、寝てるのかな…と思っていたが、結局、夜になっても一度も電話がない。

いや、喜ばしいことなのだ。本当に着信連打はこちらの精神が疲弊してうんざりするので。

とはいえ、鬼娘であっても、やはり少しは心配になってくる。

父の毎朝の電話はこんな感じだ。
これが1時間早いときもあるし(早朝5時からバイブが震え続ける日はキレそうになりながら、意地でも取らない)、多少の時差はあるけれど。

こういうのが日課なのに、今朝も携帯に履歴がなく(昨夜は何かあったらと、枕元に携帯を置いていたのだが)、さすがに心配になってきた。

高熱で大変なことになっているのではないだろうか。

どきどき、どきどき。

しかし、さすがに父である。復活し、声はやや力がないが、また電話をかけてきた。
「今日は来ないのか」
「いまはインフルエンザで安静にしないといけないし、家族もそっちに行けないという禁止の連絡が入ってる…」ツーツーツー(いつも自分に都合が悪い話になると、必ず会話の途中で勝手に電話を切る。これも人を苛立たせる)。

「インフルエンザだから寝ておいた方がいいよ」
「もう大丈夫や」
「パパは大丈夫でも、他の人にうつったらこま…」ツーツーツー。

という会話を繰り返し、ほっとすると同時に、心配な気持ちなど瞬時に消え、うぜー、という気持ちがどす黒くわたしの心に広がる。

ちなみに「非通知設定」というのは、わたしが父の登録番号で電話を取らないときに使う手で、いまや非通知の着信など、父しかいないのでばればれなんだけど、そういう小ずるい手まで使ってくる。セコさに、ちょっとわらけてくる。

この更新をしている間にも、何度も携帯がぶるるんと震えている。

そろそろ着信拒否にして仕事にかかりますよ、はい。
あれだけ「かまってちゃん」の気力があるなら、父はタフに今日も生き抜くことでしょう。大丈夫、大丈夫。

どうかホームの他の方にうつしませんように。今はそのことを祈るばかりです(まあ、父も誰かにうつされたわけだけど)。

If I wasn't hard, I wouldn't be alive.
If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.

しっかりしていなかったら、生きていられない。
やさしくなれなかったら、生きている資格がない。(清水俊二訳)

厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。
優しくなれないようなら、生きるに値しない。(村上春樹訳)

チャンドラーの名台詞を、父とわたし自身に贈ります。