支援者のみなさまからのメッセージ①

わたしたち「青山さんを支援する会」では、性別適合手術のためのクラウドファンディングを実施しています。拡散・ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

◯クラウドファンディングサイト

この度は、支援者/応援者の方に応援のメッセージをお寄せいただきました。
この場を借りて御礼申し上げるとともに、以下に紹介させていただきます。
また、メッセージは随時募集中です。
(メッセージはこちらまで)


こんにちは、アニメーション関係の作業を生業としている山中と申します。
といってもここ数ヶ月ほとんど何も手につかなくなってしまっていて、関係の方には本当にすみません……(ここで謝っても仕方のないことですが……)。
念のため書きますが、この文章と私の携わった作品に関わりはありません。しかしながら、多くはないですが素敵な作品の一端を担わせてもらっていますので、どこかで見てみてくださいという気持ちはあります。
また、私はクラファン支援者のひとりですが「支援する会」のメンバーではありません。なので、この文章はプロジェクトを応援するためのものでありつつ、青山さんや「支援する会」さんの考えに基づくものでないということもご留意ください。

さて、私は漫画形式の「日本における『性別適合手術』について」という説明の画像を作りました。
(「漫画」と呼んでいいのかわからなくて「説明の画像」と書いてみてますが、漫画っぽい形式のやつです。)
青山さんの知り合いだから、というわけではありません。
私は青山さんのことをクラファンの説明文に書いてあることしか知りません。「支援する会」のメンバーの方々のことも知りません。
それでも何かしたいと思いました。

「青山さんを支援する会」さんのツイートを拝見する前にも、トランスの方の手術支援の呼びかけは見たことがありました。英語のものをいくつも。リツイートだけするときもあれば、いくらか寄付したこともあります。PayPalが使えると安心感がある。
日本語の呼びかけを見るのはこれが初めてだなと思いながら、青山さんへの支援を決めました。こういう支援があることが「ふつう」だと思っていたし、いまのこの国でトランスのひとのためのプロジェクトが成功するのを見ることができたらそれはとても喜びだなという、祈りみたいな気持ちもあった(こうやって書くことで、青山さんやこのプロジェクトを祭り上げてシンボルにしてしまうようなのは嫌だけれど)。

その時点ではいつものように少し寄付して、リツイートして、少し所感を書く以上のことは考えていませんでした。

「支援する会」さんの呼びかけをリツイートする前に英語訳を読んでいると、いくつかのミスを見つけました。全体のボリュームから見ると些細なものです。これを指摘すると、切実な呼びかけのをつついていい気になっている人間に見えるかしら?(しかも私は英語に堪能というわけでもないのに!)などとそのときの私は考えます。そういう考え方をする人間なので……。
それでも、ミスのひとつは機械翻訳のミスだろうとわかりつつ見過ごし難く、DMで連絡しました。その一点の修正はすぐに行っていただけました。いきなりの指摘に真摯に対応していただき感謝です。

そのやり取りの際に、「プロジェクトを怪しいと思わなかったか」「青山さんの存在を疑わしく思わなかったか」というようなことを尋ねられました。「英語のものだけど何度か支援したことあって、こういうのはあって当然と思ってたから怪しいとは感じなかった」「写真のあるnoteへのリンクは見逃すひとも多そうだから文中でもっと何度も誘導があればいいかも」などのことを答えながら、確かに今まで支援した方たちはご本人のはっきりした写真等載せていたかもなと思い出していました。

正直なところ、「本人の実在が疑わしいから支援しかねる」という考え方はインターネットとの向き合い方として正しいものだと感じます。だってインターネットは怖い。疑うひとのことを冷たいとか、トランスのひとをサポートする気持ちが足りないとか思わない。自分がそういうこと考えもしなかったのは危ないかなとも少し思います。
しかしながら、いまの日本はトランスのひとびとにとって安心できる場所ではありません。個人が特定できる形での発信は、疑わしさは払拭できても、本人に危害が及び得ます。私は青山さん本人の存在が特定できないように配慮されているからこそ、守ろうとする姿勢が見えるからこそ、「支援する会」さんを信頼できると捉えました。

こう書いたからといってやっぱり「それでも疑わしいから無理」と思うのはむべなるかなだし、「疑わしいとか信頼できないとか思ってるわけじゃないけどお金を出すのはちょっと」というひともそりゃあいますよね。
経済的な余裕がないとか、外国のプラットフォームはこわいとか、オンラインでカード情報を入力したくないとか、なんとなくだけどとか、色々あると思います。
また、プロジェクトの説明にある「スタートラインに立つため」というくだりで腑に落ちるひとがいる一方、「一個人の手術という私的なことのために大勢がお金を出すのは納得できない」「誰の助けも借りずに手術を受けたひとがたくさんいるのに助けてもらおうというのは甘えてる」と感じるひとがいることも、不思議じゃないです。こんな社会状況だもんな。
「そもそも公的な仕組みが整って適切な支援が行われるようになることを望むべきで、こうした問題に関心のある個人が支え合っても虚しいだけだ」みたいな考え方もあるでしょう。私も色々な支援のタイミングでそういう気持ちになることがあります。
そういうひとたちに考えを変えろとは思わないし(攻撃するようなのは改めて欲しい)、無理してでもお金を出せともぜんぜん思わない。自分は支援できるなというひとがそんなに気負わずなんとなくお金出すくらいがいい。そんな感じで、プロジェクトが上手くいって、この世にもいいとこあるじゃんと思いたい……。

この世にもいいことあるじゃんと思いたいよ……などとつくづく思っている折、今度は「支援する会」さんの方から連絡がありました。
「noteにしか載せていなかった画像をクラファンの説明にも直接載せた。これでわかりやすくなっただろうか」というような内容でした。「別のページまで飛ぶひとは限られていたと思うので、初見でぱっとわかりやすくなったはず」みたいなことを答えるのと合わせて、「イラストやgif動画が必要なら手伝える」ということをお送りしました。自分のような一支援者にこういった連絡が来るということは、メンバーの方たちだけでは大変なんだろうなと想像できたので。
押し売りみたいで怪しかったろうかと悩むより前に返事が来ました。「『性別適合手術(SRS)』の保険適用の問題点についてイラストで説明できたら助かる」という旨でした。

そういう成り行きで、「支援する会」さんへの協力のために、それに私の意思としてプロジェクトが上手くいくことを願って、「日本における『性別適合手術』について」の説明の画像を作ったというわけです。

私は「支援する会」さんのクラファンプロジェクトの説明文を読むまで、「『性別適合手術(SRS)』が実質保険適用外」とはどういうことかわかっていませんでした。
わかってからも、認定施設がどこにでもあるわけではなく認定外の施設での手術という選択があるにはあるということは認識できていなくて、画像作成のための「支援する会」さんとのやり取りの中でやっと「ホルモン療法を通らない道はあるけどそれはそもそも保険適用」だということを知りました。
こういう問題点をたくさんのひとが知ることは、問題のある現状をマシにしていくために必要なことだと思います。プロジェクトの達成のためと合わせて、たくさんのひとに知らせる手伝いが少しでもできていたら嬉しいです。

支援の応援のための文章を書かないかと声をかけていただいて、こねくり回すうちに10日以上経ってしまいました。すみません。
そろそろまとめに入りますね……。

まず、私は法的な性別の変更というものに生殖器の手術を済ませている必要がなくなればいいと思っています。生活実態でどうにかなったらいい。それがかなってもかなう前でも
(つまりそのひとにとっての「必要性」がどのようなものであっても)、生殖器の手術を必要とするひとはみんな保険適用で受けられるようになればいいです。そのために、ホルモン療法に保険適用になってほしいです。暮らす場所によって機会が制限されるのも解消されてほしい。また、乳房切除以外にも、身体と性別に折り合いをつけるための色々な医療が保険適用になったらいいのにと思います。
そうやって変わっていってほしいことがたくさんありますが、今すぐ変わることはないので、青山さんのためのクラファンみたいなプロジェクトがたくさん立ち上がるといいです。それが「ふつう」になってほしいです。そうなれば現状の問題についてもっと広く知られることになって、問題を解決していくことにもつながると思います。
そして、いつか少しずつ問題が解決するとしても、必要なひとはこういうクラファン的な支援の形を活用できるようであればなと思っています。誰でも気軽に(というと語弊があるかもですが)支援を呼びかけることができて、誰でも気軽に支援できるような社会が、いいなと思います。

「支援」というのをここではほとんど「お金を出す」という意味合いで使っていますが、出さなくても、こういうのがあるよと広めるだけでもじゅうぶん助けになるはずです。
期限が迫ってきてるのでなかなか難しいかもですが、私のように何かできることをするという方法もあります。もちろん無償で技能(と自分の使ったものを呼ぶことには葛藤がありますが……)を使うべきところか考えたうえで。

長くなりましたが、いやはや、いろんな方が無理のないそれぞれのやり方で関わって、プロジェクト達成に向かいますように……!


上記画像の説明:トランスフラッグをもった小鳥、ノンバイナリーフラッグを持ったもっと小さい小鳥、インターセックスインクルーシブプログレスプライドフラッグを持ったより小さな人間のイラスト。書かれている文章は次の通り「青山さんのことも、「支援する会」のメンバーの方々のことも知りませんでしたが、何かできたらと思いました。いまの日本でトランスのひとのためのプロジェクトが成功するのを見られたら、すごく喜びだなという祈りみたいな気持ちがあります。 「日本における『性別適合手術』について」の画像作:山中澪(@j030i)
【上記画像の説明:トランスフラッグをもった小鳥、ノンバイナリーフラッグを持ったもっと小さい小鳥、インターセックスインクルーシブプログレスプライドフラッグを持ったより小さな人間のイラスト。書かれている文章は次の通り「青山さんのことも、「支援する会」のメンバーの方々のことも知りませんでしたが、何かできたらと思いました。いまの日本でトランスのひとのためのプロジェクトが成功するのを見られたら、すごく喜びだなという祈りみたいな気持ちがあります。 「日本における『性別適合手術』について」の画像作:山中澪(@j030i)】

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