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斬られて候26

店主は、是枝と福富よりも八つ下だが、それでも還暦を過ぎている、そのわりに若い印象があった。

福富は店主に一声掛け、冷蔵庫から中瓶を取り、ふたの開いている食器洗い機から、洗い晒しのコップを取り、是枝の隣に腰を下ろす。

「サッカーを見始めると一向に喋んなくなるんだよな」

 ぼやくわけではないがと前置きし、是枝は言った。
 店主は本来、黙っているのが苦るしい質で、人がいれば人に話し続け、人がいなければこけしでも招き猫でも構わず勝手に話す男だった。

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