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スマホゲームマーケの基本/ゲームリリース編

第2回は、ゲームマーケ担当者が、ゲームリリースを任されたときに
「あ、これ知りたい」と思うであろう数値や根拠を全部書きます。


ゲームリリース時のマーケの歴史にも触れつつ、現在選択されているマーケ手法とその理由&有効性についてまとめますので、この投稿を読めば、
誰でもスマホゲームをリリースするときの戦略設計ができるようになります。
(※本当に細かいところとか、超最新形は細かすぎたり諸事情により明文化しづらいので、直接ご相談ください。)

また、前提ですが、私が普段携わっているのが、インターネット広告部分なので、その部分の設計戦略の基礎について書いていきます。

早速行きましょう。

■事前登録の有効性とは・・・

スマホゲームをリリースするとき、ほぼすべてのゲームは「事前登録」を実施します。「おいおい、そんな基本的なことを言うなよ」という声が聞こえそうですが、、、w

では逆に聞きます。

「なぜ事前登録をやるのですか?」

この質問に、ちゃんと答えられる人は実は少ないのではないかと思います。「リリース前にゲームを知ってもらえることが大事だから・・・」とか
「スタートダッシュですべて決まるから」などの、「ふんわり」したことをおっしゃる開発サイドの方もいます。

事前登録は「ある程度大きい予算」が「ゲームが売れるかどうかも分からない」時に投資されるわけなので、↑のようなあいまいな動機で実施するのは、とても危険なことです。

ということで、今度から「なぜ事前登録?」と聞かれたら、
こう答えましょう。

・ストアDLランキング上位を獲得できる上に、結果的に獲得効率を最大化できることになるから
・アーリーアダプターは、通常期に獲得するユーザーよりもLTVが良いので、結果的に売上効率も高くなるから

の2点が模範解答です。(多分w 他に理由あるよっていう人はぜひ今度飲みましょうw)

要は、「いっぱい人が取れる」「売上が一番大きくなりやすい」のシンプル回答を正しく言語化したということです。


後者の「アーリーアダプターは、、、」の方は、是非自分が過去携わったゲームの流入日毎のLTVをチェックしてみてください。絶対に、流入月が一番高くて、それ以降は徐々に下がっていく傾向になるはずです(リリース時に事故がない限り)。

そもそも「アーリーアダプター」を獲得しているので当たり前の話すぎるので、このあたりは今回は細かく触れません。もしマーケやり始めたばかりで、わかりづらいという方は、「売上が上がりやすい=広告投資に対するROASも期待しやすい」ぐらいの理解で十分です。(※この辺の詳細は次回以降の「リリース2か月目以降のマーケの基本」で触れますw)

ということで、今回は「ストアDLランキング上位~」について、細かく述べていきます。

■「ストアランキングと戦い続けた」歴史

実はリリース時のマーケの歴史は「ストアランキングと戦い続けた歴史」といってもいいかもしれません。僕がスマホゲームに携わって10年以上が経過をしていますが、最初期の頃のゲームマーケと言ったら「ブースト」が
一般的(というかそれ以外なかった)でした。

ブーストとは、「ゲームをダウンロードしたら〇〇ポイントプレゼント!」を謳うあれです。ポイント目当てにゲームダウンロードを促す手法ですね。

ブーストの効果は衝撃的で、それだけやっておけばiOSのストアダウンロードランキングを駆け上がり、ランキング上位になることが出来たのです。この時代のマーケはシンプル&楽で、とても幸せな時代だったような気がします。

しかし、その幸せな生活は「カリソメ」だったことに、私たちはすぐに気づいてしまいます。こんな手法でストアランキングを操作する方法を「我々の業界の神」Apple様が許してくれるはずもなく、しばらくすると、「ブーストはAppleの利用規約上NG」になってしまいました。

今はこんな冗談っぽく書いていますが、当時「ブーストNG」は衝撃的で、
「え?じゃあゲームマーケできないってこと?」「マーケ費用何倍にもなるじゃん!!」と本気で憤りや不安を感じていました。

そんな不安にかられるゲームマーケタ―の前に、颯爽と現れたのが、「事前登録」です。これは本当に画期的な発明で、以後リリースするすべてのゲームは「ほぼすべて」事前登録をやっていると思います。

(「自分が初めて業界で事前登録をやりましたよ」という方がおられましたら、是非声をかけてほしいものです。めちゃくちゃお話を聞いてみたい・・・・)

ブースト=ポイント目当てで、ユーザーを一気に流入させることが禁じられたわけですが、「じゃあ、一回ユーザーのプール(事前登録)を作っておいて、リリース時にそこに呼び込みかけたら、一気に流入させられるじゃん」
という発想ですね。

はい、天才です。

と、ここまでは歴史を書いてきましたが、ここから本論に行きましょう。
なぜゲームマーケターは、ブーストや事前登録で「DLランキング」をあげることにこだわってきたのでしょうか。

■なぜストアが重要か?

それは簡単で「ゲームのストアがゲーマー獲得における重要なタッチポイントである」からです。

(2023年現在 ロイヤルマッチめっちゃがんばってる)


これは、根拠を示したほうが早くて納得できますよね。弊社では半年に一回ぐらい市場調査を実施しています。そこで「何をゲームDLの際参考にするものは何ですか?」という質問をしています。
その結果がこちらです。

(APB社調査 「ゲームDL時に参考にするものは?」)

はい、そうなんです、当たり前なんですけど、重要なんですよ。ストアで面を増やすのが。なんなら、ASAをやっても「たまに」ユーザーに広告が表示されるだけですが、DLランキングは一回上位を取れば、数時間はストアにゲームが露出され続けるわけです。

SNSを例に出しますが、仮にTwitterで、1日トレンドテイクオーバープラス(あのトレンド面のトップに動画流せるやつです)
をやろうとしたら、2,500万円ぐらいかかります。

(マーケやってる!って感じしますが、金額もお高いですw)

それよりもユーザーが「より参考にする」ストアの面をとれる価値は、とてもとてもとても、高いわけです。

■ではどうしたらストアランキング上位がとれるか?


これもシンプルに数字を言ってしまいましょう。
(ごめんなさい、根拠は示せないです)

iOS:1日15,000件ぐらい獲得すれば3位以上はほぼ確実
and:3日程度の平均が1日15,000件以上獲得すれば3位以上はほぼ確実

という感じです。(これ明示するのって、日本初では???w)
もちろん↑のランキング掲載ロジックはストアから公開はされてませんし、DL数以外にもAU数など複数の数値が組み合わされた結果としてランキングは表示されますので、あくまでも目安です。

一応自慢ではなく、過去↑の数値感でなんども上位を獲得しているので、そこそこ確度高いと思ってもらって大丈夫です。

・・・と書いたところで、勘のいい人なら、気づいたかもしれません。
そうです、iOSの方がランキング上位とりやすいんですよw

iOSは1日の瞬間最大風速、andは3日程度の平均なので、andのほうが上位獲得のために必要な事前登録数は大きくなってしまいます。andは3日間で平均15,000なので、トータル45,000件は必要になりますね。

なので、実は「予算がないんです」というゲーム案件の場合は、「iOSに絞って事前登録」は選択肢としては「アリ」です。

予算状況に応じて、うまく選択と集中してみるのも悪くないと思っています。

■事前登録はどの「プール」にユーザーを溜めるべきか


「メール登録すべきですか?」「LINEもやろうと思うんですけど」
このあたりはクライアントから聞かれる質問ランキング1位じゃないでしょうかw 

事前登録という仕組みが始まって以来、
「何に」ユーザーを登録してもらうか?は様々変遷してきました。

・メールアドレス取得して登録
・LINE友達登録
・Twitterフォロー
・外部の「予約サイト」で登録
・各ストア

このあたりがメインのプールでしょうか。
さて、それではどれを選ぶべきでしょうか? 
全部やるべきでしょうか?

これは、考え方と根拠をお伝えしましょう。

前述した通り、事前登録は
「ストアランキング上位を取る」ためにやります


ということは、大事になるのは「事前登録→DL」率が高いプールを選ぶべきといえます。(※基本的なことですが、事前登録したのにDLしない人は、もちろんたくさんいるのです。)

では、早速↑で述べた「プール」ごとの
「事前登録→DL率」をまとめます。

・メールアドレス:20%
・LINE:20% (ブーストをやっている場合は1%以下)
・Twitter:2%
・外部予約メディア:10%~30%
・各ストア:90%

はい、そうです。やるならストア登録一択なのです。
なぜストア以外がこんな低いのか、はいつか機会があればまとめます。

ここで議論すべきは、「各ストア以外にも平行してやるべきなの?」です。結論はNOです。

一般的に事前登録はユーザーを一度「事前登録サイト」に流入させて登録を促します。事前登録サイトに↑の登録先の各ボタンを設置して、どれかの登録先に再度遷移させ、そこで登録してもらうわけです。

冷静に考えてください。
この流れの場合、ユーザーが複数のパターンで登録してくれますか?
普通はしないはずですね。

まれに何個も登録してくれる超優良ユーザーがいるかもしれませんが、
それはレアケースです。大多数のユーザーは、1つの登録先に登録すれば、それでサイトを離脱してしまうはずです。

ということは、ここで、「DL率が低い」登録先に登録されてしまうことは、大きな損失なのです。

僕はよく釣りに例えて、クライアントに説明します。自分が魚を釣った時に、80%が逃げてしまう大きい穴が開いている網と、10%しか逃げださない小さい穴が開いている網のどちらに入れますか?そりゃ小さい穴しか開いてない網に入れるに決まってますよね?
複数の網を持っているメリットはないはずです。

なぜか釣りの話になりましたが、具体的な数値で示してみましょう。

・ユーザーが10,000人事前登録サイトに来たとします。
・サイトにはメール登録、ストア登録が並んでおり、
 ユーザーはどれかから登録するとします。
・登録先を選ぶ確率は、50%:50%と仮で定義します。
 →メール登録が5,000人、ストア登録が5,000になりますね。
・それぞれに戻ってくる数値を計算すると、下記になります。
 →メール登録:1,000人(20%だから)
 →ストア登録:4,500人(90%だから)
・合計:5,500人がDL値となるわけです。
・ストア登録だけだと、9,000人だったのに・・・・。
 3,500人もロスってしまったわけですね。
 
結論事前登録の登録先は「各ストア」だけにしましょう。

■これでもう「事前登録で最低いくら必要?」の質問に答えられる。

まさかこんなに長い文章を読む羽目になるとは、、とあなたは今頃思っているでしょう。僕も思っています。まさかこんなに書くとは、、、と。

しかし、ここまで読んだあなたは、プロデューサーや社長から↑と質問されたら、明確な回答ができるようになっています。
考えるための材料は、↓だけです。

・事前登録は「ストアランキング上位を取る」ためにやる。
 上位を取ればオーガニックもいっぱい流入する。
・登録先はストアだけ。事前登録→DL率は90%
・各ストア上位を取るためには、iOS15,000件、and45,000件必要

これを組み合わせて考えます。

1)ほんとに最少額でiOSで上位獲得を目指すパターン

・仮に事前登録CPAを700円と定義
・DL率90%で、15,000件の流入を担保するためには、
 事前登録数は16,667件以上が必要。
・16,667×700=11,666,900円

これだけです。思ったより小さい金額ですよねw?
予算が小さい場合はiOSだけに絞るのは、立派な戦略です。

2)Andも上位獲得を目指したいパターン

・1)がiOSの費用
・Andも同様に考える。45,000件確保するためには、50,000件必要
・iOS同様CPA700円だとすると、50,000×700=35,000,000円
・つまり合計4,700万円ぐらいあれば
 両OSともDLランキング上位が期待できる事前登録が実現できる

ということです。これ以下の予算しかない場合は、何かをあきらめる必要があるかもしれませんが、色々頑張る方法はあるので、是非僕に相談してもらえればと思いますw

これ以上の予算が決まった場合は、もちろん様々なブランディングに余剰費用を投資すればよいと思います。

逆にいうと、これ以上の費用は「ある意味過剰投資」であるということです。

・売上目標上必要か?
・ブランディング効率上必要か?

などを細かく検討する必要はあります。

今回はめちゃくちゃ長くなってしまいましたw
でもこれで読んでいただいたあなたは、もうリリース時のゲームマーケができる入り口に立っています。
後は実行するだけ! ぜひ頑張ってください。

今後も有用な投稿をしていきます、、、。
が、多分次回以降はもっと短く読みやすい内容を心がけますw
お疲れさまでした。 (編集済み)

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