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ショートショート「color」


ある日、牛乳を飲むと私は真っ白になってしまった。

肌の色は白、髪はプラチナブロンド、瞳の色も銀のまじったような白だ。
こんなことになるなんて、牛乳を飲みなれていないせいだろうか?
もともと牛乳ぎらいのやせっぽちの私は、牛乳を飲んだのは幼稚園以来だ。
だけど、こんな話、聞いた事がない。

医者に行ってみると考えられないことではないという。
牛乳の製造元にいってみなさい、とすすめられた。

私は郊外にある牛乳の工場に行ってみた。
牛乳工場と農場が併設されている。

工場の人は私の話を聞くと、驚きながらも教えてくれた。
実は牛の体の色は牛乳によってつくのだそうだ。
農場で飼っているホルスタインも生まれたときの色は茶色なのだ。
それと関係あるかもしれない、と。

でも、ホルスタインはしろ、くろ、の斑(ぶち)でしょう?
とたずねると農場に案内してくれた。
茶色の子牛が飲んでいる白い牛乳に、大きな真っ黒な水玉がまざっている。
こうして牛に模様をつけるのだそうだ。
子牛が牛乳を飲むと、見る間に白黒の模様がついていく。

どうも私は、口に入れたものに体の色が影響されるようになってしまったようだ。
もともと敏感な体質で素質はあったのだが、久しぶりの牛乳で発動したらしい。

それはしかたないとして、全身が真っ白というのはいやだ。
もっと私らしい、私にふさわしい色があるはずではないか?
私はなにかヒントはないかと多くの文献を調べた。
そして、フラミンゴはもともと白いのだが、食べ物の影響で色がつくということを知った。

私はアフリカに渡り、フラミンゴの住むみずうみに行った。
そこでフラミンゴのえさである水草やエビを食べて暮らした。

私の肌がショッキングピンクなのは、そのせいだ。



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#ショートショート #小説 #短編









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