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アラブとナンパとお父さん

アラブ圏湾岸の国に留学中。
最初はアラビア語留学、今は大学院生。

3年半前こちらの学校にきた時に衝撃だったことがある。

それは
入学した学校の寮は外出禁止だったこと!!!!

到着1日目でそれが発覚した。
手続きをやってくれた現地のの先生や学生課の方は男性だったから、女性セクションについてしらなかった。

寮についたその当日、入るなり空港より相当厳しい荷物検査をされた。
そして管理人の女性たちと話してわかったのは部屋に入ったらもう何もかも買いにいけないなってこと!!!!
どうして誰も教えてくれなかったんだ。
知らされて来たと知らずに来るのでは違うんだぞ!!!!


この学校では、私が初めての日本人だから仕方なかった。同じ国籍では先輩はいないわけだし誰も詳しいことは教えてくれなかった。
この国全体でも知ってる限りでは、多分3人目くらいの日本人女子留学生だと思うしね。
ネットにすら情報はなかった。

寮は綺麗だけど、もちろん使い古されたマットレス。そして前の人の食べ物かすがこぼされてた。
おーい、シーツが必要って教えといてくれ!

クウェート人のルームメイトとの二人部屋。これは後から考えれば気を使われての特別待遇だと思う。アラブ人と同じ部屋にしてほしいという部屋の希望も聞いてくれた。
私が先に来て、2週間後に彼女が入寮した。

初日。部屋に入ってみるとがらんとした部屋にシーツも毛布も布団も何もかもなかった。
そして夜になると集中管理の冷房で寒すぎた。着いたのは1月。確かに昼は30℃近かったけど夜は23℃くらい。なぜ冷房?
アバヤという現地の女性が服の上からきる前開きの薄い羽織りみたいなを自分の上に3重に重ねて寝た。

平安時代か江戸時代の人は着物を掛け布団として使ってたよね・・あれを思い出したよ。




ドライヤーは買いに行くつもりだったが、外出を制限されちゃ手に入らない。
毎日「私は今日も寮におります」というサインを窓口にしにいかなきゃいけないのはちょっと監獄風味で本当にしんどかった。
22時までにしなきゃいけないサインを忘れて看守のように寮のスタッフがノックなしに部屋に入る・・・当時34歳にして大泣き。


「私は子供じゃない!!」(泣いた理由が子供である)



今なら平気かもしれないが、カルチャーショックもあった。
近場には聞いてくれる人もいなくて一人ぼっちだという事が余計に辛くさせた。
他の都市に住んでいる友人夫妻や日本在住のアラブ人の友人がいつも電話で聞いてくれた。



あの寮から解放された今思えば、外出禁止なのは女子生徒を親御さんから預かるっているからという理由だろうと思う。
外には危険がいっぱいだから守ってくれているんだよね。

外出禁止のことを事前に知らせてくれてたら、ここまでショック受けなかったと思うんだけど。
寮母さん的な人が買ってくれた毛布を見てまた涙。
「自分で選びたい・・・」
わがままというか気がおかしくなってしまっていた。


私の勉強しているこの国は、よく外国から批判されてしまう国だ。
「男尊女卑」とか「女性蔑視」と言われてしまっているが、それに関しては誤解かなと思う。
欧米や日本が考えるような差別と少し違う。

過保護なんだよね。



過過過過過過過過過過過過保護!!!!

区別や役割分担に近い。


女性はいつまでも幼児というではないのにそんな保護するか?というほど男性家族による送り迎え、門限の設定、荷物を持ってもらえる、一人で外出できない
(今は大丈夫な地域の方が多い)などなど。

大事にされているように見える。

地方都市や田舎や小さな町の男性たちは自分の家族に一人で外出して欲しくない人が今でも多いと思われる。
だからといって女性たちが自由を抑圧されているというふうにはそんなに見えない。

とはいえ女性の経営者が1/3以上にもなるのでやり手で聡明な女性が多い。



寮を耐えきれずまたコロナの影響で3ヶ月で量を退寮することとなり」外で一人暮らしを始めてからだんだんとわかったことがある。



ナンパが多すぎない?


私は中年なのに1日に数回ナンパに晒される。
そしてわかった。

一人で出歩いてるからなんだ、と。


多くの現地人は家族と一緒じゃないと出歩かない。もしくは友人や兄弟と。
私は散歩が好きで一人でキョロキョロしながら歩いていたけど、現地人を見ると女性が一人で歩くなら視線を伏せているのだ!

現地の人からみると、一人で歩いている女性は「大切にされてない。」

だから大事にされてないらしき私は遊べそうな女性に見える。なおかつ東および東南アジア人ってやさしそうで断れないイメージを持たれてる。
さらに文化の違いで目線が合いやすい。
これらの理由で「あの女いけそうだぜーーーー!!」と認定されているようだった。


※現地の湾岸アラブ人男性は真面目であれば街ゆく知らない女性を決してじろじろ見ない。きちんとした人であればあるほど。それがマナー。
だからじろじろ見られたら現地の女性は怒ってしまう。文化の違いのせいか、インド人男性と現地人女性がもめることがある。

私も最近は多くの道では視線を下げて歩く。それにナンパのための口笛の音や車からの声がけ等あらゆる音にぴくりとも反応しないようになった。
そうすると最初の年から比べて体感で10分の1程度にまでしつこいナンパが減ったと思う。

街のアパートに引っ越ししてからしばらくたってからイエメン人のアパートの管理人さん(60歳)が私の父親がわりになってくれた。いつでも買い物についてきてくれる。
自意識過剰と思われるかもしれないが、帰宅する時も一人で住んでると思われると狙われやすいのでその「お父さん」に電話してからアパートに入る。
自分で言うのも変だけど、私の顔は日本人の中でもとっても優しげな方なので(笑)対策をしても車につけてこられやすい。
このお父さんがアパートの前で待っていてくれるようになってから、背後を気にするストレスが減った。

でも最初は
「二カーブででかけなさい」「23時を過ぎるな」「男性と遊びに行くな」
と本気の本物のアラブのお父さんになってくれたおかげで、めちゃめちゃ大変ではあった。
とあるとき男性の友人の一人だったAさんが車で迎えにくると
「あいつとは会うな、縁を切りなさい!!!2度とあいつの車をアパートの前に止めさせない。今すぐ電話番号をブロックしろ」
「顔を見ればわかるんだ!あれはお前からメリットを欲する男の顔だぞ!!!」
と激しく怒られ言い合いになった。私も激怒してしまい、その後数日口を聞かなかった。
しかし3ヶ月後、その友人は下心をもって私と接してたことが分かったのだ・・・。婚約者がいると言われ、婚約者の連絡先もしっていたので危機感をもってなかった。
これだけ他人のお父さんになりきれる人はいる?
すごいね。イエメン人お父さんに心の底から感謝している。

お父さんは出稼ぎ労働者なのだが、愛されていて現地の同年代の近所の人たちからも「お父さん」とよばれ、他の世代の人からは「アリーおじさん」とよばれている。文盲で14歳から出稼ぎしているけどなんか懐かしい気持ちになる人。
私の父の実家は東京の下町で、ああ言うところにいるステテコを履いた背の低いおじいさんといった感じの風貌で、中身も曲がったことが大嫌い、声が大きい、変なやりすぎの冗談、太っ腹。実際お腹も出てる。ちょっとした修理はなんでも金槌もってやっちゃう。
こういうところに親しみを感じる。

現地人もきっとそうなんだろう。今では減ってきつつある、かつて現地でもよくいたような人物像なんだと思う。


※個人的には60歳は日本人ならおじいさんと思わないんだけど、このお父さんの風貌は14歳から働いていて子沢山のためなのかちょっとおじいちゃんぽい風貌にみえる。

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