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孤高の日本酒

 昨日の深夜零時、私の初めての本がAmazonから電子出版されました。

 その時間が来るまで、モニターとにらめっこして、あれこれと最後の作業をしていたのですが、いつもはとっくにアルコールが入っている時間ですが、じっと飲まずに過ごしていました。

 それは、出版祝いにと、一本の日本酒を頂いていたからです。

 午前零時を回って、あちこちから出版のお祝いのメッセージをいただきながら、その日本酒の蓋を開けて、とっておきの九谷焼のぐい呑みに注いで、そっと味わいました。
 優しい香りで、口に含むと刺激が少なくて、飲み込んだ後に日本酒独特の絡みが口の中に残らない味。

「なんだこれは?」

 これまでに飲んだことのない不思議な日本酒です。

 ぐい呑みにもう一杯注いで、注意深く味わってみます。やはりそう。口の中や喉に変に残らない。これでもお酒はかなり色々な物を飲んできましたが、あれに似ているとかそういう比較対象が浮かびません。どこかもう次元が違う。

 しかし実は飲む前から、おそらく他のお酒と比較することはできないだろうと予想はしていましたが、果たしてその通りでした。

 このお酒は、長野の上田で宮下農園を営む、宮下和美さんが販売しているのですが、原料の酒米を、化学肥料も農薬も除草剤も殺虫剤も使わずに育てて、それを酒蔵と交渉の末、添加物を一切使わずに醸してもらい、ようやくこの世に生まれたのです。


 私がこのお酒の存在を知ったのは、東京都立航空工業高等専門学校名誉教授の島田一雄先生に教えてもらったのですが、その時から、このお酒はとんでもないと思っていました。
 どこがどうとんでもないかというと、酒米の段階から、一切化学薬品も添加物も使わない日本酒など、他にはおそらく存在しないからです。あったとしてもここまで徹底できない。しかも宮下さんは酒の醸造に化学でアプローチしています。醸造過程で生成される窒素酸化物などを排除するようなことまで考慮されているのです。(実は宮下さんは、長野工業高等専門学校のOBで、元エンジニアです。)

 つまり、この日本酒は、世界に唯一孤高の存在なのです。

 現在酒米は4種類で、それぞれ0.8ヘクタールずつ×4で、合計3ヘクタールの田んぼで酒米を栽培しているそうです。農薬を使わないので、収穫量は通常の半分以下だと思います。となると、生産量もかなり限られるはず。

 実際に自分が口にするまでは、声を上げるのは控えていたのですが、そのバックグラウンドを知らなかったとしても、本当に美味しいお酒です。
 そして希少性からいえば、フランス、ブルゴーニュのロマネ・コンティよりもずっと希少です。そして多くの日本人にとっては、ロマネ・コンティよりも美味しいはずです。
 味はしっかりしていて、後味は異常にスッキリ、香りも柔らかいけれども果実のようだし、肴はちょうど私のイメージだと、「鱸の洗い梅肉和え」や「鮃の薄造り」、「真鯛の松皮造り」なんかが欲しくなる感じ。


 ここで宮下さんの自己紹介を引用します。

 “長野県上田市武石上本入1086において、無農薬の米つくり・お酒の販売を行っています。  約3ヘクタールの田んぼは、田んぼが凸凹で荒れ果てていた処を全て借り上げて、木や草を取り除き平らな田んぼに均すところから始めました。  化学肥料も農薬も除草剤も殺虫剤も使わずに、草木の発酵堆肥と自分で育てた大豆と自家培養のEM菌だけの肥料で、酒米育てています。  収量は近所の田んぼの半分以下ですが、トンボやホタルが舞い虫たちの天国のような田園が出現しました。  美ヶ原高原の北裾にある水源の、標高は800mから900mの最初に水が注ぐ田んぼの、半分近くで酒米を作っています。  1ヘクタールでは、今度は全く何も入れないで、大豆の種をまくだけで味噌用の大豆を栽培しています。その余った大豆は田んぼの肥料として活用しています。  収穫した酒米を酒蔵にお届けして、何も加えないでお酒を醸して戴いています。  そのおかげで、宮下米のお酒は、スッキリ爽やかな飲みくちになっています。  宮下農園のブランドは「美香具田」と書いて「みやした」と読み、真ん中の香具師は手を加えている者たち、そして美味しい酒を創り出すという意味です。  宮下農園では麹室を持っていて、冬には自家製の糀を出しています。  化学物質が入っていない自然米お糀は、酵素力価が最高の糀になって、甘酒を作りますと半分の時間で最高に甘くなります。  大豆と糀をハートフルハウスにお届けして、幻の味噌「まいみその」になります。  そんな、宮下農園をよろしくお願い致します。”

 もうなんだか、ものすごくヤバいですよね……

 実は宮下さんご本人、化学物質過敏症で、それまでお酒を飲むことができなかったそうです。だから他の作物も全部化学物質完全排除で作っています。

 幻の味噌まであるよ……困ったなあ。

 知っちゃったらもう知らないってことにはならないからなぁ。

 今後は日本酒買ったりするときに考えちゃうと思いますね。いや、絶対にこのお酒が頭をよぎる。

 本当は今後呑む日本酒は、全部宮下さんのお酒にしたいんですけど、しばらくしたら手に入らなくなっちゃうと思うんだよなぁ。

 ちなみに今ならまだ手に入ると思いますよ。

 日本酒を少しは嗜む方なら、一度は口にしたほうがいいと思います。

 まだ手の届くうちに。

【リンク先の<宮下農園 酒販店ブログ>見るとわかりますが、宮下さんがやってきたことに比べたら、私の今回の出版なんて物の数ではありません。なんか恥ずかしくて下向いちゃうレベルです。】




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荒石 誠

2017年から物書きはじめました。 経営していた会社と、自身の同時破産の経験から「破産のススメ」を執筆。 初の著書『破産のススメ』 official site:http://araishimakoto.com Amazon著者セントラル:https://goo.gl/Akp5L1

野郎のための野郎マガジン

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コメント2件

うまいなぁお酒も文章も😊
あ、飲んだんでしょ? 美味しいよねぇ…
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