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知ってしまえば戻れない

本を書き始めてからしばらくして、知古の友人のライターに原稿を見てもらいました。

かなり短時間で書いたことも、文章も褒めてくれたんですが、あえて内容については触れなかったんですね。
それはいいとして、彼は三十年近く商業誌のフリーライターとして仕事をしていますから、気になるところがあっていくつかアドバイスしてくれました。

内容に関しては、俺あたりが口を挟まないほうがいいだろうけど、「?」の後ろだけは直したほうがいいかも。下みたいな感じ。
今日は暑かったよね?明日も暑いのかなあ。
       ↓
今日は暑かったよね? 明日も暑いのかなあ。

最初のアドバイスがこれだったんですが、どういうことだろうと思って、持っている本を色々と開いてみると、確かに「?」の後ろは一文字空いている。これをアキというらしいのだけど、そんなこと習った覚えがない。

中学校の国語の先生をしている友人に聞いてみると、学校でも教えていないということだから、国語教育ではやはり習っていなかった。つまり商業出版の常識というものがあって、今回それを初めて知りました。

他にも「字下げはするならしっかり統一して下げるなら下げる。その際行頭に括弧がつくなら字下げはしない。」とか、「漢字については、もう少し開いても(平仮名にしても)いいかも。これは好みの問題だから、好きな方でいいだろうけど。」とか。
なるほど、なんとなくプロの文章がすっと読めるというか読みやすいのはこういうこともあるのかと感心しました。

「開く」とか「アキ」とかプロっぽいですね。あ、プロか。

そしてそのアドバイスに基づいて原稿をひたすら校正したんですが、校正マラソン20周もしちゃうと、もう他の文章見ても気になって仕方がない。

誤字脱字はもとより、「アキ」
これは学校でも教えないんだから、知らなきゃそのまま書きますよね。
もちろん私も書いてましたから。

「そんなこと言ったっけ?いや聞いてないけど」
「そんなこと言ったっけ? いや聞いてないけど」


知ってしまうとこれがもう気になって仕方がない。

今では原稿書く段階で当たり前に「アキ」を入れる癖がつきました。

漢字も意識してなるべく「開く」ようにして、表現も平易な文章になるように考えるようになったし、それまではあんがい独りよがりな文章だったんだと反省もしました。

知ってしまうと戻れなくなりますよね。

皆さんも意識して文章を見ると、見えてくると思いますよ。
そうすると確かに読みやすいことがわかって、自分の文章でも気になって気になって仕方なくなります、多分。
それにそういうルールに従って書いている人の文章はすぐにわかるようになります。
「あ、この人プロだ」みたいな。

こういうことも、スコトーマが外れるということなんでしょうね。






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