『予定通り進まないプロジェクトの進め方』

確か前職で新築戸建の現場監督をしていた時に、同じく社内の設計担当とびっくりするくらい噛み合わず、どうにかならないものかと思って手に取った本だった気がします。一人のお客様がいて、家を建てるというゴールまで決まっているのになぜこうも噛み合わないのかと。

プロジェクトというと、どうしても広告代理店とか、SEとか、なんだか壮大なイメージが付きまとう単語だけど、著者の定義は「未知のものを既知にする」とかそんなわりと単純なものでした。確かにルーティンと呼ばれる定型にはめられるゴールの見えている業務とは違って、やったことがない、成果がどうなるかわからない業務はすべてプロジェクトなのではないか、という発想は賛成する。

でも先が見えない仕事(=プロジェクト)はどうしてこうもうまくいかないのか。先が見えないんだから当たり前と言えば当たり前なのだけど。ようは先が見えないながらも先を予想して、違えば修正して、物事を進め、設定したゴールに向かい、実現する、というのがプロジェクトの本筋だとは思う。

例えば、火災が起きた建物の中に恋人がいてどうやって助け出すかとか、ある日突然バイオハザードな世界になってどうやって生き残るかとか、実はこの世の中にもポケモンがいてオーキド博士(赤緑世代です)からポケモン図鑑を渡されて冒険に出るとか、いろいろ想像というか妄想したことって少なからずあると思います。その想像って基本的にハッピーエンドというか、どうしたらハッピーエンドに持ち込めるかって、わりと真面目に考えたはずだと思います。

たぶんこれと同じことだとちょっと思いました。思ってたことと違う、話と違う、想定と違う、いろいろあるけど、結局は考えが及ばなかっただけで、荒唐無稽ではあるものの、あることないこと延々考えたことがあるのに、その柔軟な脳みそがなぜ仕事で活きないのか。

SFチックなことはなかなか現実世界では起きないけれど、SFばりに予想外なことが起きるのが現実世界なわけで、どれだけ想像力を働かせれられて、そのときそのときベストなゴールを設定、修正できて、そこに向かう推進力を獲得し、達成するか。ずいぶん工学よりな本ではあったけど、心は少年のままでいいのではないかとか、ちょっとそんなことを思った本でした。


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