読書感想文(24)ヤニス・バルファキス著、関美和訳『父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい 経済の話』

はじめに

こんにちは、笛の人です。
読んでくださってありがとうございます。

今回読んだこの本は、セミナーで紹介されていて知りました。
元々もう少し後で読もうと思っていたのですが、別の話題の本を本屋さんで探している時に見つけ、パラパラ捲ってみるととてもわかりやすく面白そうだと思い、買う事にしました。

感想

とても面白かったです。
順を追って理屈を説明している上に、具体例も豊富でとてもわかりやすいです。
一方で、わかりやすいはずなのに読んでいるうちに混乱してきました。というのも、どんどん話が進んでいくので、その場その場で「なるほど」と思っても、情報量が多過ぎて頭に入り切っていなかったのだと思います。
なので、しばらく勉強してから、もう一度読み直そうと思っています。

印象に残った話は多いので全て書くことはできませんが、いくつか書いておきます。

まず第一章「なぜ、こんなに「格差」があるのか?」では、経済の誕生まで遡って歴史的に知ることができるので、とても面白かったです。
第二章では大航海時代の辺りから企業が莫大な富を持つようになり、それに権力者が乗っかり、労働者が虐げられ、そして労働市場が始まったという話が印象的でした。
第三章はマーロウの戯曲とゲーテの『ファウスト』、悪魔のメフィストフェレスに魂を売る二つの話を比喩として、現代は借金から生産が始まるようになったという話がありました。
内容自体も面白いのですが、教養の使い方が上手だなと思いました。この本ではここ以外にもたくさん同じように比喩が用いられます。
第四章以降は金融の話になり、少しずつ理解が難しくなっていきました。恐らく、まだあまり理解できていません。今覚えているのは、起業家は周りの人がどう考えるかを想像して動き、みんなが同じように想像する事で実際にそのようになる、という話です。これもオイディプスの神話を比喩として用いており、「予言は自己成就する」と端的に表現されています。
あとは第七章でビットコインの危険性について書かれていたのもわかりやすかったです。これもビットコインの成り立ちから説明されています。
第八章でCO2の排出権を政府が企業に与え、それを取引できるようにしたというのを知って驚きました。恐らく日本ではそうなっておらず、課税対象になっているのでしょうか。
エピローグで、経済学は「公式のある神学」とし、経済のことを専門家に任せるのは、占い師に任せるのと同じだと主張しています。ともかくお前ら勉強せい、というメッセージだと受けとりました笑。

今、目次を見ながら振り返ってみると、この本の良かったところは歴史を重視していること、例えに力を入れていることなのかなと思いました。この二つのおかげでとてもわかりやすいです。
一方で内容が濃いので、100%理解するのはやはり難しいです。逆に言えばこの本の内容を誦じることができれば、結構な成長なんじゃないかと思います。この本の話を他の人に話せるくらい頭に入れたいです。

この本はわかりやすくて面白くて内容が濃いので、「経済に興味があるけど何から始めたらいいのかわからない」という人におすすめできる本なのではないかと思います。こんな風にヘッジをかけてしまうのは私がまだ全然詳しくないからなのですが、いつか自信を持って勧められるように今は勉強しようと思います。

おわりに

最近少し読書のペースが落ちています。このままではよろしくないので、今週は読みまくる予定です。目標は日曜までに4冊です。頑張ります。

というわけで、今回も最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。


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