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WEEKLY REFEREEING ANALYSIS #1-5 「J1第31節 札幌 vs C大阪」R西村雄一さん 60分-75分

目次に重要度を星で示しています。お忙しい方は星の多い物のみ読んでみてください。他のこの試合についての分析については、最後にまとめてあります。目次からジャンプしてお読みいただけると幸いです。

明治安田生命J1リーグ 第31節
北海道コンサドーレ札幌 1-3 セレッソ大阪
審判団 主審 西村 雄一 副審1 野村 修 副審2 堀越 雅弘 第4の審判員 船橋 昭次
得点者 札幌  ジェイ (65')
    C大阪 ブルーノ メンデス (40'・80') 清武 弘嗣 (54’)
警告  札幌  ジェイ (62')
シュート数    札幌  9-14 C大阪
コーナーキック数 札幌  5-1  C大阪
フリーキック数  札幌  13-12 C大阪
(J. League Data Siteより作成 https://data.j-league.or.jp/SFMS02/?match_card_id=24159)

★ 60:38 ファウル C大阪10 清武 弘嗣⇒札幌7 ルーカス フェルナンデス

札幌7ルーカスフェルナンデス選手がC大阪10清武弘嗣選手の前に体を入れたところで、清武選手が足払いのような形でルーカス選手を倒したため、トリッピングで反則。不用意な反則のため、ノーカード。

★★ 61:27 警告(ラフプレー) 札幌 48 ジェイ (⇒C大阪22 マテイ ヨニッチ)

この試合で1枚目、結果的には試合で唯一の警告(イエローカード)。GKからボールを受けてフィードをした後のC大阪22マテイヨニッチ選手に対して、札幌48ジェイ選手が遅れたタイミングで、スピードのあるキッキング。スピードがあり、タイミングの遅れた激しいものであったため、無謀なタックルとしてラフプレーでの警告は妥当。

西村主審は、長い笛を吹いた後、スプリントでジェイ選手の目の前に行き、警告を提示。警告を示すときには無言でジェイ選手にカードを提示した。まずマテイヨニッチ選手のケガの有無を確認した後に、ジェイ選手に話しかけるマネジメントを行った。カードを出す際にはうだうだ言わずに、カードという分かりやすい情報伝達手段を用いることが一番のマネジメントになるといえるだろう。

★ 62:42 ノーハンド判定

札幌陣内のPA内で、C大阪16片山瑛一選手が右足でシュートを放つが、札幌32田中駿汰選手が足でブロックする。そのディフレクションが、札幌20キムミンテ選手の腕付近に当たる。キムミンテ選手の腕はしっかりと体につけられており、不自然に広げられていないため、ノーハンド判定は妥当。西村主審は、ボールがキムミンテ選手に当たった瞬間に、「ノー」と声を上げた。その結果、C大阪側のハンドを要求する声は鎮火した。このようなマネジメントは、起こった瞬間に行うことが大切である。

64:37 ゴール 札幌48 ジェイ (札幌1-2C大阪)

札幌の得点。反則やオフサイドに関わる事象は何もなく、シンプルな得点。札幌48ジェイ選手・11アンデルソンロペス選手がC大阪21キムジンヒョン選手が保持していたボールを取りに行くが、お互い紳士的な姿勢ですぐにキムジンヒョン選手がボールを渡したため、何事もなかった。審判をする際には、点差が近い状況で負けているチームの得点時は、得点後のボールをしっかりと監視したい。

★ 65:54 ファウル C大阪5 藤田 直之⇒札幌30  金子 拓郎

札幌陣内で縦パスを受けた札幌30金子拓郎選手をC大阪5藤田直之選手が後方から蹴ってしまい、キッキングの反則。不用意なもので、西村主審は笛を吹くのみで、マネジメントの必要のないものだった。

★★ 66:18 ノーハンド判定とジェスチャーでのマネジメント

C大阪22マテイヨニッチ選手のヘディングでのクリアを胸トラップした札幌8 深井一希選手の腕がトラップ時に前に出されており、場合によっては「ハンド」とC大阪側から声が上がってもおかしくないシーンだった。声は実際には上がらなかったが、西村主審は声を出さずに、自身の胸を触って、当たった部位が胸であったことを示した。このような細かい気遣いのマネジメントを適切なタイミングで積み重ねていることがよくわかるシーンだった。

★ 67:50 ファウル C大阪20 ブルーノ メンデス⇒札幌5 福森 晃斗

自陣でヘディングで味方にパスをした札幌5福森晃斗選手に対して、C大阪20ブルーノメンデス選手が遅れたタイミングでチャレンジ。プッシングもしくはチャージングの反則で、西村主審は笛を吹いた。不用意な反則で、ノーカード。

★ 68:23~68:30 札幌の攻撃に対するC大阪の守備

札幌7ルーカスフェルナンデス選手がPA右角付近でドリブルを横方向にするが、C大阪25奥埜博亮選手は体を入れる。ルーカス選手が転倒するが、正当なチャレンジであったため、西村主審は手を大きく広げて、「ノー」と声を出した。このマネジメントは、西村主審がノーファウル判定をするときに行うもので、今までに出てきた手を軽く振るものや自身の胸を触るものなどに比べると重要なシーンで出されるものである。メリハリをもって、PKかどうかの判定という重要なシーンで、このマネジメントを示した。

その後、札幌がPA内に侵入しなおして、札幌11アンデルソンロペス選手とC大阪15瀬古歩夢選手が接触するも、互いに正当なチャレンジだったため、ノーファウル。

69:29~71:32 飲水タイム

60-75分までまとめ

この時間帯札幌48ジェイ選手への警告はあったが、判定に関してはあまりシーンが多くなく、ゲームを完全に落ち着けたといえるだろう。この落ち着きに関しては、下図の基本のポジショニングや、正しい判定、細かなマネジメントをここまで丁寧に続けてきた審判団、ひいては西村主審の判定も大きな要因となっている。もちろん最大の要因は、札幌・C大阪の選手のリスペクトであるが、そのリスペクトを引き出した審判団の貢献にも目を向けてみてほしい。ミスがあったと思われる判定をクローズアップすることももちろん大事だが、審判団もチーム同様90分の間に積み重ねを行っているということがよくわかる15分間の落ち着きだった。

スライド3

次回は、最後の15分間でこの積み重ねが功を奏すのか見ていく。本日も読んでいただき、ありがとうございました。

この試合を分析したシリーズ

#1-1「イントロダクション・0分-15分」

#1-2「15分-30分」


#1-3「30分-45分・前半のまとめ」

#1-4「45分-60分」

この試合のハイライト


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