見出し画像

神田の三角地帯に残る老舗の近代建築 竹むら×揚げまんじゅうを堪能【東京神田】

私達の身の回りに当たり前にあって、日々の生活を豊かにしてくれるもの、それは建築と甘いもの。
このnoteでは建築好きのやま菜がおすすめしたい建築と甘いものを紹介していきます。

今回訪れたのは、古き良き時代の雰囲気を色濃く残すビジネス街、東京神田。
神田駅をでて5分ほど歩いたところにある神田須田町エリアには、戦火による焼失を免れた老舗店が今も残る貴重な三角地帯があるが、そんな須田町の真ん中にとっておきの建築と甘いものスポットがある。


1.神田須田町に残る古き良き甘味処を訪問

神田駅より歩いて約9分、地下鉄の淡路町駅・小川町駅からだと約2分ほど歩いたところに、今回の目的地竹むらがある。
竹むら創業は1930年の老舗の甘味処で、私自身の神田の用事の度に何度も訪れたことのある大好きなお店だ。

竹むらがある神田須田町は、江戸時代から神田の街の交通の結節点として栄えた旧万世橋エリアの一角にある小さな街区だ。
旧万世橋駅は今は駅としては廃止されているが、中央線の起終点として明治から大正時代にかけて繁栄し、周辺エリアである神田須田町にも多くの料亭や割烹料理屋が軒を連ねていた。

この時代の大事件といえば1923年に起こった関東大震災だ。
1912年に建設された旧万世橋駅も焼失してしまったが、1925年に再建されて1943年まで駅として使われている。

今回紹介する竹むらをはじめとする建築群も、竹むら(1930年築)、いせ源(1937年)、鳥すきやき ぼたん(1930年頃築)、神田まつや本店(1925年)と関東大震災以降の復興の中で建てられている。
このエリアは戦火も奇跡的に免れていて、当時の建物が現在もそのまま使われているのである。

尚、1943年に営業を休止した旧万世橋駅は2013年に大規模な改修を行いmAAch ecute神田万世橋として再生されていて、近代遺構の重厚さとスタイリッシュで現代的なショップやカフェが掛け合わさるオススメのスポットである。

竹むらは木造3階建てのミニマルな建物だが、木造ならではの様々な要素が重なりあう意匠によって、規模や階数以上に豪華なつくりに見えるのが面白い。

【竹むら 施設情報】
住所:東京都千代田区神田須田町1-15
行き方:神田駅より歩いて約9分
竣工:昭和5年
営業時間:11:00~20:00
座席:12席
その他:東京都選定歴史的建造物

角地に建つことを意識したデザインも秀逸だ。
よくみると奥に細長く連なっているのだが、角部として正方形が浮かび上がるように縁が切られているのである。

角部は先端の提灯で集約されて、見事なアイストップになっているのだから味わい深い。

そして敷地いっぱいに建てながらも、軒下の足元には植栽が植えられていて、季節ごとに色づきながらその表情を変化させているのだから見事としかいいようながない。

ちなみに週末は行列ができることもめずらしくないので、訪れる際は時間に少し余裕をみておくのがオススメだ。

2.受け継がれた絶品の甘味の数々を味わおう

前置きが少し長くなってしまったが、竹むらといえばまずは名物揚げまんじゅうを頂きたい。
到着してみると、思ったより大きい2つの揚げまんじゅうに思わずテンションが上がる。

サクサクした衣ともっちりしたまんじゅうは食感も楽しい。
ぎっしり詰まったあんこは甘さがやや控えめで、絶妙なバランスとなっている。

ミニマルだけれど重層的で奥深いとは、まさにこの建物と同じではないかなどと考えているうちに、あっという間に完食してしまった。

建物についてもう一つ面白いと思うのは窓の多さである。
これは内部に入ってはじめて気付いたのだけれど、竹むらは細かい窓が多く設けられているので内部は明るく、実際の大きさ以上の広がりを感じるのである。
さらに開口部は目線が通る部分が透明になっていたりして、視線の抜けについてはかなり意識的にデザインされている。

メニューは揚げまんじゅう以外にも、宝石箱のようなクリームあんみつや上品な甘さを堪能できるおしるこなど、魅力的なメニューが満載だ。

こだわりのあんこなど、受け継がれた伝統の味もさることながら、例えばおしるこではおもちが食べやすいサイズにカットされているなど、その気遣いも味わい深い。

他にも夏にはかき氷を提供したりと季節ごとのメニューがあるのも大きな魅力だ。

ちなみに竹むらではテイクアウトもできるので、手土産や帰宅後のご褒美にお持ち帰りするのもオススメだ。

3.あわせて訪れたいおススメのグルメ建築

せっかくなので竹むらとあわせて訪れたい神田須田町の建築についても紹介したい。
(神田須田町エリアは本当に素敵な建築が多いが、ここでは食事もできるおススメ建築として2建築を紹介する)

まずはじめに紹介する鳥すきやき ぼたんは、竹むらのすぐ斜向かいに建つ鳥すきやき屋だ。
竹むらとほぼ同時期に建物に建てられた建物は、3階部分は一部増築されているが、1・2階部分は建築当時の面影を色濃く残していて、淡いクリーム色の木造2階建ての建物からは老舗の風格が漂う。

池波正太郎氏をはじめ多くの作家や文化人も足繁く通ったお店としても知られる建物は、正面を入ってすぐのところにある中庭、風合いを感じる内装などみどころも満載だ。
未だにガスを一切使わないこだわりの炭火鳥すきは絶品で、伝統の空間と味を心ゆくまで堪能できるおススメのスポットだ。

【鳥すきやき ぼたん 施設情報】
住所:東京都千代田区神田須田町1-15
行き方:淡路町駅・小川町駅より歩いて約2分、神田駅より歩いて約7分
竣工:昭和初期(1930年頃)
営業時間:11:30~21:00
定休日:日曜、祝日
座席数:100席
その他:東京都選定歴史的建造物
公式Webサイト:https://www.sukiyaki-botan.co.jp/


続いて紹介する神田まつや 本店は、竹むらやぼたんから程なく南下したところに建つお蕎麦屋さんだ。
松を形どった正面左右の欄間や、2階屋根に吊り下げられたちょうちんの看板など、風格と親しみやすさを併せ持ったデザインがとても素敵だ。
そば粉から薬味に至るまでこだわり抜いた絶品のお蕎麦が頂けるオススメのグルメ建築だ。

【神田まつや本店 施設情報】
住所:東京都千代田区神田須田町1-13
行き方:淡路町駅・小川町駅より歩いて約2分、神田駅より歩いて約5分
竣工:大正14年
営業時間:
 平日 11:00~20:00
 土曜、祝日 11:00~19:00
定休日:日曜
その他:東京都選定歴史的建造物
公式Webサイト:http://www.kanda-matsuya.jp/

今回は昭和初期に建てられた建築を中心に神田須田町エリアの建築と甘いものを紹介した。
どの建築も素晴らしい建築・食体験をもたらしてくれる名建築なので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。

この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?