38年前にCMに出演した話三部作②〜打ち合わせ編〜
昨日の''スカウト編''に続きまして、本日は''打ち合わせ編''です。
「やってみます」と返事をしてからすぐに、打ち合わせがあった。
「じゃあ、打ち合わせをするので、○日に乃木坂のカプッチョで待ち合わせましょう」
「…乃木坂?」
「って、どこ?」
当時、横浜市緑区、今の青葉区に住んでいた私。
高校も電車で一駅、そこからバスで15分。
地元からほぼ出なかった田舎者だった。
都心がわからない。
渋谷までは行ける。
私が中学生の時に、田園都市線は渋谷まで開通した。
いわゆる新玉川線だ。
通称、新玉(しんたま)線。
今、この呼称はなく、半蔵門線だ。
それまでは、二子玉川駅から大井町線に乗り換えて、都心へ行っていた。
と、脱線してしまった…
しかも、ケータイなんて無い時代。
時刻表を持ってきて、パラパラとめくり、時刻を調べるわけでありまして…
「乃木坂のカプッチョ?」
実は、まだ信用できていない私。
正直に言ってもいいですか?
私、「芸能界=脱がされる」と思っていたんです。
冗談でなく、本気で。
最初は甘いことを言って近づいてきて、後から絶対、裸にされるんだ!!と。
無事、乃木坂に到着。
カプッチョはすぐにわかった。(構内だったかも?遠い昔で記憶が定かではありませんが)
店内に入ると、社長さんともう一人男性がいた。
その男性が、私のマネージャーをしてくれる方だと紹介された。
「とりあえず、うちの新人ということにしますので」
いくつか打ち合わせる。
「挨拶はおはようございますでお願いします」
『えっ?なんで昼間なのにおはようございますなんだよ』
心の中で悪態をつく。
「じゃあ、行きましょう!」
『えっ!行くんですか?』
『どうしよう…』
社長の奥さんと話をした。
娘さんの手作りのラーメンもご馳走になった。
でも、まだ完全に信用できていない。
『よし!もし裸にされそうになったら、走って逃げよう!!』
この時になってもまだ、本気で思っていた。
冗談でなく、本気で身構えていた。
「ここです」
まだ新しいのだろうか、白亜の綺麗な建物。
季節は、初秋。
気持ちの良い秋晴れの日で、澄み切った青空が広がっていた。
ガラス張りで開放感がある。
ドアも透明で、開け放たれていた。
『大丈夫だ。逃げられる』
中に入る。
受付に男性が立っていた。
挨拶をしようとすると、向こうから挨拶をしてくださった。
「おはようございます。黒澤です。」
そうです。
あの黒澤明監督の息子さんでした。
当時、林寛子さんと結婚されたばかりで騒がれていたので、芸能ニュースに疎い私でもお顔がわかったのです。
『本物だ!!!』
『良かった〜』
日本が誇る映画監督、
世界のKUROSAWAがバックについている。
もう大丈夫だ。
すっかり安心した私は、満面の笑みで、
「おはようございます」
と返しました。(ゲンキン…)
こうして、打ち合わせは無事、終了したのでした。
次回は、撮影編です(*^_^*)
つづく。
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