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アカデミー賞受賞!「君たちはどう生きるか」における悪意(ネタバレあり)


45才公務員クエスト失敗おじさんの「ありのこ」です。

先月発表されたアカデミー賞
宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」が長編アニメーション賞を受賞しました。

映画館でこの映画を観ましたので思うところを書いていきたいと思います。

このnote記事はネタバレありです。

なので映画「君たちはどう生きるか」をまだ見てない方はこのnote記事は読まない方が良いと思います。
ここで引き返してください。

そして先に書いておきます。

私はジブリフリークではありません。
私はアニメオタクでもありません。

私はジブリやアニメに関して単なる一般人です。
そんな一般人が映画「君たちはどう生きるか」を映画館で観た感想です。

実は「ネタバレありレビューで大切のこと」の70%は前回のnote記事で書いてしまっています。

興味があればこちらもお読みください。

前回のnote記事で書いたこと

映画「君たちはどう生きるか」のストーリー甘えん坊が自立してハッピーエンド

「君たちはどう生きるか」タイトルの意味異世界から厳しい現実世界に戻った人たちがどう生きるか

ネット上で圧倒的多い否定派の「ストーリーの意味が分からない」「映画タイトルが詐欺だ」という意見に対して私なりの答えを出しました。

今回は前回の続きであり補足です。
前回のブログ記事よりも考察寄りになります。

考察と言っても「この世界はジブリのことを描いていて、このキャラクターは鈴木敏夫で・・・」と言う話ではありません。

「自立して厳しい現実世界で生きていく」とはどういうことなのか?

このことを書いていきたいと思います。


・映画「君たちはどう生きるか」におけるマヒト君の悪意


映画「君たちはどう生きるか」の終盤。

大叔父おおおじとの会話でマヒト君が石で自分のこめかみを殴ったことを「悪意」と表現します。

「えっ?」と私は驚いてしまいました。

「そんなことが悪意なの?ちょっとオーバーじゃない!?」と。


思春期の少年の大したことがない自作自演にしか思えません。

マヒト君がタバコで「買収して」おじいちゃんに弓の作り方を教わっているのもかわいい「悪意」です。

タバコで「買収して」と書きましたが、ものを教わっているのだから「対価が必要」だと考えれば単なる商取引だとも言えます。

マヒト君がナツコさんに冷たいのも思春期少年だったら「そうだよね」と言うレベルの大したことがない「悪意」です。

マヒト君はナツコさんに出会った最初から冷たい感じです。

出征する兵隊さんとその見送りをする人たちが町を歩いています。
「赤紙で招集された」と言われるやつですね。

兵隊さんに敬意を表すために人力車から降りるシーン。
妊婦であるナツコさんのことをまったく配慮していませんね、マヒト君は。

「すぐに丁寧に兵隊さんに敬意を表すために」という社会的に反論できないことを雰囲気に出しながらとっとと一人で人力車を降りてしまいます。

その後の生活でも「言葉は丁寧でも態度は冷たい」という感じをマヒト君はナツコさんに貫き通します。

マヒト君の立場だったら「そりゃそうだよね」となる。

思春期の少年に「死んだ母親の妹が新しいお母さんです」「死んだ母親の妹が父親との子を妊娠しています」「死んだ母親の妹を母親だと思って仲良くしてね」って・・・・

いきなり仲良くしろって無理だろ!?

こう考えるとマヒト君の「悪意」は大したことがない

マヒト君と正反対に大きな「悪意」を持っている人がいますよね。

あの人です。

・映画「君たちはどう生きるか」における父親の悪意

軍需工場を経営している父親です。

確かサイパン島陥落について話していた時だと思いますが、ナツコさんが「多くの人が死んじゃってかわいそう」と言います。

そしたらお父さんが「金儲けのチャンスだ」と言うようなことを言います。

軍需産業を経営しているとは言え「悪意がデカすぎ」だろうと。

マヒト君とナツコさんが出征する兵隊さんにお辞儀をしていました。
赤紙で招集された兵隊さんたちがたくさん亡くなっている状況を「ビジネスチャンスだ」と言っているわけです

・君たちはどう生きる<べき>か


マヒト君に話を戻しましょう。

映画の終盤。

異世界でナツコさんはマヒト君を「大嫌い!」と叫びます。

その時にマヒト君は「ナツコ母さん、帰ろう!」と言います。

マヒト君は「現実世界でナツコさんをお母さんだと認めた態度を取る」ことを受け入れたわけです。

ナツコさんの「大嫌い!」が100%の本気ではないことは理解した。

ナツコさんの立場だったら「マヒト君は邪魔だ」という部分はあったはず。だから「嫌い」という部分があったはず。

でも人間の気持ちは純度100%で構成されているわけではない。
だから「マヒトは嫌い」が100%ではない。

少なくともナツコさんはマヒト君と仲良くしようとしていました。
ナツコさんは自分の子供ではないマヒト君を邪魔者扱いしようとはしていません。

ナツコさんは悪意を小さくしようとしていました。

そのナツコさんを「お母さん」として認めることはマヒト君の悪意を小さくすることだと思います。

「思うところはあっても」「本当の母親と100%同じにはできなくても」と思いながらも、ナツコさんへの態度を変える。

これは成長であり、自立なのだと思います。

そう、君たちは、そして私たちは「聖人君子ではない」のです。

小さな悪意は持っています

小さな悪意があるからダメだということではない。
0か100の二択ではない。

「悪意0ではないから悪いのだ」だと悪意90レベルに闇落ちしてしまう危険があります。

戦争を「ビジネスチャンスだ」と言い放つ父親のようになってはいけない。

悪意が30なら悪意25、悪意20へと減らしていけば良い。

悪意をなくすのでなく減らす

「自立して厳しい現実世界で生きていく」と最初の方に書きました。

もうちょっと正確に書くとこうなります。

自立して厳しい現実世界で<悪意を小さくしながら>生きていく


ちょっと道徳っぽくなりました。

吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」が小説の形を取りながらも倫理本と呼ばれています。

だから映画にこれくらいの道徳的な意味はあっても不思議はないと思います。

「父親=大きな悪意と言い切るのは乱暴」という問題があるのですが、乱暴だと分かっていながらホンネを書いてみました。

映画「君たちはどう生きるか」についてはほかにも色々考えることがあります。

このnote記事のの反響が良ければ映画「君たちはどう生きるか」の第3弾を書きます

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*このnote記事は2023年7月23日にアメブロで公開したものを再編集したものです。

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