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『オー・ファーザー!』家族の形に決まりはない

百日紅(サルスベリ)の花がわさわさを美しい今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
「猿滑り」と書くのかと思っていた。幹は猿も滑るほどのツルツル具合、でも百日紅と書くということは、3ヶ月間花を咲かせるということだろうか?と思ったら、どうやらそのようです。

さて、プライド月間だった6月に読み返していた1冊、『オー・ファーザー!』について。
もう何回読んだか知れない。そう、何を隠そう私は伊坂幸太郎さんの大ファンなのです。是非、ご承知おきください。

ふと思ったのは、彼らこそ夫婦別姓に賛成するだろうな、と。
彼ら、というのはファーザーたちです。

今月初めに選挙がありました。毎度のことながら、選挙前に慌てて選挙マッチングをいくつかしてみたのです。大まかな政策に賛否を選んでいき、自分の求める政策を公示している政党を割り出してくれるツール。便利な世の中になりました。

その政策の中に、夫婦別姓を認めるべきかどうか、というものがあったのです。
もちろん私はかなり前のめりで賛成。なんで女性が姓をわざわざ変えなければいけないのか。その必要性を論理的にサポートする理由がない。

気付いたのだけど「姓」という字は「女+生」。
にもかかわらず、女性は生まれて来た時の姓を維持し続けることができない可能性があるなんて、おかしな話じゃありませんか。

さて、『オー・ファーザー!』ですが、LGBTQA(もはやAtoZな気がしてくる)の話ではありません。
この本で描かれている多様な家族のあり方から、ダイバーシティのイメージのプライドが結びついての選書。

4人お父さんを持つ由紀夫くん一家の話です。
一夫多妻ならぬ一妻多夫のファミリー。
同性のカップルを認める認めないとか言ってる場合じゃない。

家族の構成なんて自由に決めたらいいじゃん!もっと柔軟に物事考えよう?と思えるほどに、素敵な家族。

尤も、個人の幸福の追求を考えると、同性婚であれ何であれ、認めないのは言語道断。
そもそも、性別なんて便宜上のカテゴライズでいいと思うし、男女平等とかの前に個々が平等であるべき。
なんか色々みんな頭が固いというか、既得権益に固執しすぎというか。

アンチ同性婚の掲げる理由の一つに、「子供ができないから」がある。
でも、それを含めて新しい家族の形をどんどん取り入れていくべきだと思うのよね。

社会的問題に触れたついでに、先月、経済産業省から出された「未来人材ビジョン」(下記リンク)をお勧めしておく。
これを見ると、日本の少子高齢化の深刻な進行具合、そして日本の未来に漂う絶望感がよく分かる。

https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/20220531_1.pdf

それ以外も非常に興味深い内容になっている。
日本の未来を考える上でも、自身のキャリアをプランする上でも、子育てに頭を悩ませる上でも、何かしらの参考になると思うので是非。

話が逸れましたが、ファーザーたち4人それぞれのキャラがはっきりとしていて、現実世界を生きる上で大いに参考になる。
由紀夫くんと共に学びを得る。

そういえば、ここでも仮面が出てきた。赤いユニフォームは不足していたけれど、お父さんたちがアイスホッケーのマスクを被って登場。

その後、仮面のシーンからは離れて、ドッグレース場での一幕で再び『イカゲーム』を思い出す。馬券ならぬ犬券に夢を託した輩たち、走る犬たち。
『イカゲーム』で仮面をつけたVIPたちと、ガラスの橋を綱渡りの如くそぞろ歩く参加者。
そして、そういえばと思い出すのは、冒頭のシーン。ギフンさん in 競馬場。
そう、彼も最初は見物する側にいたのですね。
なるほど、後の展開を示唆していたのか、と今更ながらの気付き。

話の飛躍ぶりは平常運転ということで、本題の小説にほとんど触れていないけれど、とても面白い本なので強くおすすめすることは忘れずに、今日はこの辺で。
ごきげんよう。

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