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「影の獄にて」と「戦場のメリークリスマス」

5月に八丁座で1週間だけ限定上映された「戦場のメリークリスマス」。
公開から40年。ずっと見たかったのに、ずっと忘れてて、今回やっと見れた。

ベストなタイミングだったんだな。この映画見るの。
中学生の頃に見ても、意味がさっぱりわからなかっただろうし、その後はこの時代のものを見たいと思わない時期が長くあった。

映画音楽としては、ずっと聴いていたけどね。故坂本龍一氏の音楽はやっぱり素敵だ。

子育て中にアホみたいに聴いた2枚のCD。

1983年、40年前の作品。
あの時代にしか作れなかった映画だなあと思う。日本軍兵士のえがき方(特に上官クラス)がエグい。わたしはこっちの方が好きだけど。最近の戦争をえがいた作品は優しすぎて、はあ?って思う。1983年はまだ昭和だったし、(昭和58年)わたしも昭和の人間なのだなあ、と身につまされる。

40年前といえば、昭和ヒトケタ世代が現役で、明治うまれがまだ元気に生きていた頃。当然、戦争や原爆を体験した人はそこらじゅうにいて、実際、わたしも原爆で長女をなくした祖母と一緒に暮らしていた。祖母は明治43年(1910年)うまれ。母が看護師でフルタイムで働いていたため、わたしは祖母と過ごす時間が圧倒的に長かった。それはわたしの人格形成に大きな影響を与えたと見え、同世代の核家族で育った同級生の価値観に、どこか馴染めなかったのを覚えている。

中学の卒業アルバムより

この映画に原作がある、と知ったのも、映画をみた後のこと。
気に入った映画は原作を必ず読んでみることにしているのでさっそく図書館で予約。1ヶ月ちょっとでわたしの番がきた。

発行は昭和53年。活字2段組で字が小さい。

これ、はたして2週間で読めるのだろうか…。次の予約が入ってるから、延長は無理だしね。
しかし、読み始めたら大丈夫だった。
おもしろい…。大島渚監督、映画にしたかった気持ち、わかる気がする。かなり原作に忠実。
仮借なくとか、莫逆の友情とか、雲に聳えるとか、読めん漢字を容赦なく使っているとこもそそられる。
…読みにくいけどね。
2週間で読み終わって返せたことも、妙な達成感がある。
これも中学生のわたしには読めなかったな、きっと。
映画も本も一期一会だと実感した。残りの人生であとどのくらい出会えるのだろうか。









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